熱狂のバトンを受け取ったのが、SEX MACHINEGUNS。彼らも最初からこの空間を熱狂で染め上げ、この熱気を佐渡の地まで届けようとしていた。その姿勢と勢いを生み出すように、SEX MACHINEGUNSが冒頭に持ってきたのが、『みかんのうた』。メンバーの「みかん みかん みかん」の叫び声に合わせ、観客たちも拳を振り上げ心の叫び声を上げれば、荒ぶる演奏に合わせ終始身体を大きく揺さぶり続けていた。SEX MACHINEGUNSのライブにおけるオーディエンスのノリについて終始言えることだが、つねに身体を揺さぶり熱情しながら、メンバーらが手振りや楽器を用いたアクションを起こすのに合わせ、観客たちも同じ動きも交えて騒ぎ続ける。『みかんのうた』でも、歌や演奏のリフ、決めなどに合わせ身体を大きく揺さぶれば、「みかん みかん みかん」と叫ぶ声に合わせ、即座に拳を振り上げる反射神経がすごい。その熱狂ぶりに引き込まれ、一緒に身体を大きく揺らしてしまうのもわかる気がする。
演奏は、止まることなく『ANACONDA』へ。アナコンダがジワリジワリと獲物へ近づき、一気に食らいつくように、起伏を抑えたゴリゴリのメタルサウンドが身体をジワジワと締め上げ、熱狂という悲鳴を上げさせる。身体中から熱が膨らみ続ける感覚が、とても刺激的だ。
ここで、主催者の内田克彦氏を舞台に呼び入れた。ANCHANGはマイクを内田氏に渡し、みずからはギター演奏に専念。披露したのは内田氏のオリジナル楽曲で、4曲目にリリースされた最新作である『商いのROCK』。この冴えた洒落心が最高じゃない。内田氏は声を振り絞り歌いあげようと、何度も何度も身体を折り曲げ、声を響かせ続けていた。その姿を、少し心配そうな視線で見ながらも、ANCHANGは演奏を通して熱いエールを送っていた。こういう男気を見せ、このイベントを一緒に盛り上げていこうとする姿勢がANCHANGらしくもあり、SEX MACHINEGUNSらしい姿だ。
途中にMCも挟んだが、ここからは終盤へ向かって爆走し続けてゆく。ゴリゴリなパワーで攻める『JAPAN』の中、メンバーらがギターやベースを弾きながら、3人で同じアクションを見せるたび、フロアでも同じ動きが起きていた。この曲に限らず、メンバーの動きや楽曲の展開と重ね合わせるように、観客たちも同じ動きを示してゆく。SEX MACHINEGUNSのライブ空間に生まれる熱狂のウネリは、メンバーと観客たちが気持ちを同化し、一体化した熱源となってゆくから起きてゆくに違いない。
耳や心に印象深く突き刺さるメロリフな音を魅力にした『森のくまさん』では、そのリフを奮い立つエンジンのように回転させながら、ゴリゴリとした音を突きつけてゆく。まさに火傷しそうな熱風を撒き散らし暴走し続けるマシーンのよう。そのパワーに刺激を受け、フロア中の人たちの身体も、より大きく波打っていた。
この熱を持って感情を噴火させようと演奏したのが、『桜島』だ。メンバーらと同じ動きをしながら、舞台の上から降り注ぐ火花のような熱い音に打たれることへ観客たちは心地好さを覚えていた。フロア中から突き上がる数多くの拳は、まるで噴火した勢いで熱したまま飛びだした岩のよう。
ここで、SEX MACHINEGUNSは『BURN』を演奏。終盤に、昔からライブで熱狂を描き続けてきた曲たちを並べてくるところが嬉しい。パワーとパワーのぶつけあいを見せるライブ空間に生まれた熱狂に、こちらまで燃え尽くされそうだ。
ANCHANGは、この日のライブを彩ったPhantom Excaliverと冠徹弥をふたたび舞台へ呼び入れた。最後の最後に披露したのが、SEX冠(SEX MACHINEGUNS/THE冠)のコラボソングとして作りあげた『METAL FIRE』だ。ここでは、冠徹弥とKacchangがヴォーカルを担い、互いに歌をぶつけあえば、ギターソロではSEX MACHINEGUNSのSUSSYとPhantom Excaliverの Matsuとの演奏を掛け合う場面も登場。熱したシャウトが飛び交うパワフルなメタルナンバーに魂を熱く掻き立てられ、終始フロア中からも力強く拳が突き上がっていた。
「佐渡トキロックフェスティバル」は、同じ志とメタル魂を持った仲間たちが集まり、気持ちを開放し、雄叫びを上げてゆく場。今回のイベントをスタートに、着実に回数を重ねながら、遠くない時期には佐渡の島中に熱い雄叫びを響かせようじゃないか。
PHOTO:Litchi(茘枝)
TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- SEX MACHINEGUNS
- 1.みかんのうた
- 2.ANACONDA
- 3.商いのROCK(w/内田克彦)
- 4.JAPAN
- 5.森のくまさん
- 6.桜島
- 7.BURN
- 8.METAL FIRE(w/冠徹弥、Phantom Excaliver)