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2021.12.18@duo MUSIC EXCHANGE ライブレポート
取材・文:田山雄士
PHOTO:小野寺将也
fleufleu Presents We Live As One 2021 – fleuraison finale –
2021年12月18日(土)@渋谷duo MUSIC EXCHANGE
4人組ガールズロックバンドのfleufleu(フルフル)が、昨年12月18日(土)に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEでワンマンライブ「fleufleu Presents We Live As One 2021 – fleuraison finale -」を開催した。
2021年8月に自身初の音源であるシングル『薔薇/君の所為』をリリースし、同月より初のツアーを敢行、東名阪を回りながら着実に力を付けてきたfleufleu。この渋谷duo MUSIC EXCHANGE公演は、そんな“WLAO”シリーズの文字通りフィナーレを飾るワンマンで、今の彼女たちがやれることをすべて出し切るひとつの集大成として臨むライブとなった。
バンドの記念すべき一夜とあって、渋谷duoには満員のお客さんが詰めかけ(会場入口に彼女たちへ届けられたたくさんの花!)、開演の時を今か今かと待ちわびている。想像以上の集客ぶりでエントランスがごった返していたためか、当日の都内近辺で電車のダイヤ乱れが起きたのを考慮してか、予定より約20分遅れで始まったライブ。fleufleuのバックドロップが飾られたステージにいよいよメンバーが現れると、『下の名前で呼ばないで』のイントロで「来てくれてありがとう。今日は絶対に忘れられない一日にしたいと思います!」とCanaco(Vo&Gt)が早くも気合十分に叫ぶ。その声に少しだけ震えが感じられたのは、目の前に広がる景色があまりに嬉しくてたまらなかったからだろう。Kaho(Gt)が手拍子を求めれば、すぐさま理想的な盛り上がりが生まれ、ファイナルのワンマンは最高のスタートを切った。
黄色やオレンジの照明がきらめくポップなサマーソング『夏の忘れモノ』では、冬を忘れさせるほどフロアがホットになり、『またね』へと続く中、楽しい雰囲気はいっそう増す。5弦ベースを華麗に弾くAyano(Ba)とメリハリの効いたビートで引っぱるMimori(Dr)のリズム隊を軸に、同期も使いながら堂々と演奏を展開するfleufleu。全員でコーラスをうまく重ねるなど、序盤からキュートなだけじゃない魅力が伝わってきて、この時点でツアーを通して成長したバンドサウンドがしっかりと見て取れた。
「感染対策の制限下ですけど、私たちも一生懸命この日のために準備をしてきたので、心ゆくまでfleufleuを堪能して、最後まで楽しんでいってもらえたら嬉しいなと思います」とCanacoが挨拶したあとは、ブルーのライトに包まれてポストロック的なグルーヴで魅せた『メリーゴーランド』、ポエトリーリーディングを交えた『ジレンマ』と、一転して胸の内に抱える葛藤を歌うダークなナンバーを悩ましく鳴らし、引き出しの多さをアピール。さらに、ワンマンならではのセクションとして、スペシャルゲストの友野美里(Key/レトロリロン)を呼び込み、彼女のエレピが映えるバラード『マボロシ』を奥ゆかしく聴かせたりと、表現の幅を広げていく。
その後はメンバー全員がいったんステージから捌けて、友野のピアノソロタイムに。『下の名前で呼ばないで』をはじめとするfleufleu楽曲のメロディを引用しつつ、ジャジーかつアバンギャルドなプレイを約3分にわたって届けると、黒のワンピースに着替えたCanacoが舞台へ戻り、続いては友野との2人編成で『吐息』『candy』を披露。エレピ伴奏+ハンドマイクでの歌唱というアコースティックスタイルのもと、切なく伸びやかなボーカルを活かし、R&B調のアーバンなアレンジで辺りを彩るなど、バンド形態とはガラッと異なる味わいも醸し出す。
そして、お次はCanaco&友野と交代する形でMimoriがステージにバック、タムの重々しい響きが際立つパワフルなドラムソロが始まる。さらに、その途中でKahoとAyanoが加わり、3人によるインストセッションへ突入。衣装チェンジした姿は勿論、KahoのタッピングやAyanoのスラップといった演奏面も見どころで、プレイヤーとしてのポテンシャルの高さが窺える時間となった。『エトセトラ』以降は再びオープニングの4人体制に戻り、ライブ定番曲の『はじまりの瞬間』、シングル曲『君の所為』と、明るいアンサンブルでバンドも会場のテンションもどんどんいい塩梅に!
熱い盛り上がりを受けて「本当にすごいですね。たくさんの方が来てくださって」と口を揃え、「(ステージの)下手も、上手も、センターも、どの景色も最高!」と喜ぶ4人。メンバー紹介では、Kahoが「カレー部部長」、Ayanoが「ラーメン部部長」、Mimoriが「ゆでたまご部部長」と、各自が好きな食べものを挙げて名乗ったり、それに対して「私も考えたんだけど、ぜんぜん面白いのが思い浮かばなかった!」とCanacoが笑ったりと、しばし和やかな空気が流れる。
ライブ後半はロックに畳みかけ。和メロと祭りっぽいリズムでフロアにタオル回しを巻き起こした『ヨマイゴト』、激しいストロボの効果が相まってますますエモく轟いた『ALLY』と、この日超速フラゲ販売が実施された1stアルバム『fleuraison』(2022年2月5日に全国リリース予定)の収録曲も惜しみなく披露する。『嫌い』でサウンドの疾走感はピークに達し、力強い歌声や各パートの切れ味鋭いソロなど、4人の個性をめいっぱい打ち出しつつオーディエンスを圧倒してみせた。
「本当にあっという間です。ライブって私たちの力だけじゃできなくて、裏で一生懸命動いてくれてる人とか、たくさんの人が関わってくれていて。足を運んでくれるみんながいて。その全員でひとつのライブが出来上がっているんだなと実感してます。2021年はfleufleuにとって、初めてのことだらけでした。3月に初めてのワンマンをSHIBUYA DIVEでやって、8月に初めてのMVとシングルを発表して……」
感極まった様子で言葉を紡ぐCanaco。かと思えば、「しんみり話してきたんですけど、大事な工程を忘れてました……。ここで写真を撮らせてくださいー!」と唐突に記念撮影へ。そんなドタバタすら、無性に初々しくてとてもいい。「ウチのボーカルはいつもこういう感じなので大丈夫です。通常運転でーす(笑)」と、Kahoがナイスなフォローを入れていたところにも仲の良さが垣間見られた。
「duoの前にいっぱいのお客さんが並んでいるのを見て、すごく嬉しかったです。こんなにたくさんの人がfleufleuを知って、ライブに足を運んでくれるなんて思ってなかったので!」と、Canacoがあらためて感謝を伝え、本編ラストはバンドの名刺代わりの一曲『薔薇』をドロップ。サビではなんとduoワンマンの大成功を祝うように、フロアから薔薇を象ったペンライトの数々が一斉に輝き出す。ファンが用意した粋なサプライズに目を潤ませて笑顔が弾けるメンバーの表情も美しく、この日いちばんの感動的なシーンが生まれたのだった。
アンコールに応え、ニューTシャツを着て再登場したfleufleu。1stアルバム『fleuraison』とグッズの紹介を経て、今度は先程のサプライズのお返しとばかりに、アルバムにも収録される新曲『Daydream Lover』をプレゼントし、ファンを大いに喜ばせた。掛け合いパートも含むフレッシュなポップチューンを聴かせたあとは、メンバー全員が本公演に至るまでの想いを語ってくれたので、その一部を書き残しておきたい。
「fleufleuにはいちばん遅く加入したんですけど、“私というベーシストを見つけてくれて本当にありがとうございます”とメンバーに感謝してます。今年はけっこう忙しくて、大変なこともたくさんありました。でも、この4人だからこそいろんなことを乗り越えていい経験ができたと思うし、このバンドにすごく可能性を感じていて、まだまだ上に行きたいので、これからもどうぞよろしくお願いします!」(Ayano)
「2021年はたぶん世界の多くの人が苦しかった中、私も個人的に挫けてしまった時期があって……。自分の活動が正解なのかわからなくなったりもしたんですけど、目の前にこんなにお客さんがいて、つらいときもすごい勢いで笑かしてくれるメンバーがいて幸せだし、今は挫けちゃったことが恥ずかしいな、悔しいなと思ってます。この道を選んで間違いなかったと確信できたのは、みんなのおかげです」(Kaho)
「もともとはCanacoと私で始めたバンドに“fleufleuをやりたい”と言ってくれる仲間が増えて、今いっしょにできているこの空間が本当に幸せです。それを幸せそうに観てくれるお客さんの顔も、チワワやポメラニアンみたいにかわいくて……(笑)。めちゃくちゃ嬉しい状況なんですけど、安定していたら停滞と同じなので、これからも4人で進み続けていきたいと思ってます。ぜひ、ついて来てください!」(Mimori)
「fleufleuが初めてライブをしたのが2015年の12月で、当時の自分に“6年後はduoでワンマンやるんだよ”と言っても絶対に信じてもらえないと思います。楽しいときもあったけど、不安もずっとあって。でも、みもりんといっしょだったから乗り越えてこられたし、ずっとガールズバンドが組みたくて続けてきたからつじかほとAyanoちゃんに出会えました。ここにいるみんなのことが大好きです。この幸せをできる限り長く続ける、その先でもっと多くの人たちと共有していくのが今の私の夢です」(Canaco)
それぞれが胸に抱えていた想いをまっすぐに語り、会場全体が温かい空気で満たされる中、最後の最後はメンバーとオーディエンスの笑顔に嬉し涙、そしてジャンプ姿が眩しい『SPICA』で、2時間強に及ぶ万感のライブを清々しく締め括った。
バンドの今を詰め込んだ渾身のワンマンで、見事な花を咲かせたfleufleu。1stアルバム『fleuraison』の全国リリース日となる2月5日(土)には、発売を記念したイベントの開催が東京・青山 RizMで決まっている。詳細は後日発表されるので、続報を待とう。
《SET LIST》
- 1.下の名前で呼ばないで
- 2.夏の忘れモノ
- 3.またね
- 4.メリーゴーランド
- 5.ジレンマ
- 6.マボロシ
- 7.吐息
- 8.candy
- 9.Solo Section
- 10.エトセトラ
- 11.はじまりの瞬間
- 12.君の所為
- 13.ヨマイゴト
- 14.ALLY
- 15.嫌い
- 16.薔薇
- <ENCORE>
- EN1.Daydream Lover
- EN2.SPICA
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fleufleu
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