LUNA SEAが帰ってきた。スティーヴ・リリーホワイト氏を共同プロデューサーに迎え制作したアルバム『CROSS』を引っ提げ2020年に予定していた30周年ツアーは26公演のうち24公演、さらにグランドファイナルも延期。また、昨年12月に予定していた『LUNA SEA-RELOAD-』と題された彼らの仕切り直しの第一歩もライヴ当日の開演1時間前に真矢(Dr)の陽性反応が確認されたため延期となっていた。彼らが最後にライヴを行ったのは2020年2月。実に13ヶ月ぶりに戻った“日常”である。そんな3月27日、28日にさいたまスーパーアリーナで開催された3ヶ月越しの『LUNA SEA-RELOAD-』の初日の模様をレポートする。

開演を待ちわびるSLAVE(LUNA SEAファンの総称)が手拍子を始めて10分以上が経過した頃、会場が暗転すると神々しいライティングと荘厳なSEをバックにゆっくりとLUNA SEAの5人が登場すると割れんばかりの拍手が会場を包んだ。INORAN(Gt)が天高く手を掲げると『LUCA』でライヴはスタート。それはまさに澄んだ空気に昇る太陽のようで、初日の出をみるような清々しさがあり、これまでの鬱々とした気持ちを浄化してくれるようなオープニングであった。その余韻を引き裂くように『Déjàvu』のイントロが響き渡るとメンバーが次々に花道へと飛び出し、途中RYUICHI(Vo)が「ドラムス、真矢!」と名前をコールすると笑顔で力強いドラミングを見せ完全復活であることを見せつけた。

真矢(Dr)

みんな元気だった?会いたかったぜ!13ヶ月ぶりのLUNA SEAのライヴでございます」とRYUICHIが挨拶をし、「たぶん過去最高のライヴになるんじゃないかと思っています」と続けると会場からは拍手が巻き起こる。さらに、真矢にマイクを渡すと「年末の事は本当すいませんでした」とおどけて笑いを誘ったかと思えば「その分、きょうは倍返し。いや、百倍返しだ!」と意気込みを語ってくれた。また、この日のライヴは全世界に向けて配信されており、「大変なトンネルの途中にいると思うんだけど、絶対一緒に抜けられるから。一緒にトンネルの出口まで行って、一緒に盛り上がれる日を待つんじゃなくて引き寄せましょう」と配信で楽しんでいるファンに向けてもメッセージを送った。

今回のライヴは2部構成になっており、1部は『CROSS』の楽曲を中心にしたものになっている。全盛期のLUNA SEAの香りがするストレートなロックナンバー『Closer』ではフロアからは拳があがり、軽快なポップロック『Pulse』ではハンズクラップが会場を盛り上げる。声は出せなくともライヴの楽しみ方は様々だ。さらに静と動が同居する『PHILIA』ではJ(Ba)がピアノを弾く場面も見られ、新しいLUNA SEAの一面を見ることができた。こうやって新しい時代のライヴの楽しみ方、新しいLUNA SEAとしての表現の仕方を貪欲に突き詰める様はさしずめ少しずつ世界を押し広げていく宇宙のようだ。そんなLUNA SEAという名の小宇宙は『宇宙の詩~Higher and Higher~』『静寂』といった広さや深さを持つLUNA SEAらしい楽曲へと続いていく。そして「LUNA SEAが世界のレジェンドたちを相手にこれから活動を続けていくとしたら強くならなきゃいけないね。みんなで宇宙一になりましょう」と宣言し『Hold You Down』、1部のラストナンバーとして『悲壮美』を披露した。

約20分の換気タイムをはさみ始まった2部は打って変わってLUNA SEAのライヴの定番曲を中心にセットリストを構成。真新しいアレンジで生まれ変わった『月光』をSEに彼らの不動のオープニングナンバーである『LOVELESS』で幕を開ける。ここからは『BELIEVE』『STORM』『TRUE BLUE』と往年の名曲のオンパレードだ。なかでも<手を伸ばさなきゃあの光さえ掴めない>と力強く歌われた『STORM』は1部でRYUICHIが語った「一緒に盛り上がれる日を待つんじゃなくて引き寄せましょう」にも繋がる一節だったように思う。

この感染症の時代だから人と人の距離は離れたけど、それにみんなへの愛おしさや会いたいって気持ちは前より増してるんじゃないかって。だから、俺たちは離れているようだけど離れてないんだよ」と話したのは一部でのことだったが、そんなSLAVEへの想いを込めて歌われた珠玉のラヴソング『I for You』を経て、ライヴはラストスパートと言わんばかりにキラーチューン『ROSIER』へ。普段であれば「行くぞ〇〇!」と地名を叫ぶJもこの日は「全員で行くぞ!」と叫びながらマイクスタンドにブレーンバスターを決める。そう、このライヴに参加しているのはさいたまスーパーアリーナにいるSLAVEだけではないのだ。そして彼らはラストナンバー『TONIGHT』をもって本編を締めくくった。

アンコールでは会場が青い光に包まれていた。これは来場者に配布された青いフィルムをスマートフォンのライトに透過させることで会場を青く染め、医療従事者への感謝を表すための企画である。そんな幻想的な景色の中で歌われたのは昨年の緊急事態宣言の状況下で出口が見えず不安を募らせているSLAVEの心に寄り添いたいという思いから制作された『Make a vow』だ。<たとえ時が立ち止まっても たとえ強い風が吹いても 君よずっと信じていて その願いを 約束を ずっと抱きしめて>というサビはまさしく今なお続くこの情勢において充分な希望になりえるし、落ちサビではSUGIZO(Gt/Vn)が手話でこの歌詞を表現していたのも印象的だった。

メンバー紹介ではINORANが「今日、いまこの瞬間はこんな幸せなことはないと思う。けど、よりよい未来をみんなで作れるように僕らはこれからも(音を)鳴らし続けていきますんで宜しくお願いします!」と語れば、SUGIZOは「この一年でみんなとの絆がもっと深まった、みんなとの距離がもっと縮まったような気がします。この苦境を一緒に乗り越えていきましょう」とメッセージを送った。さらにJは「こういう状況だからこそ、何か成功例を積み重ねてロックのライヴだって出来るんだぜっていうのを見せたいと思ってるんだよね」と中指を立て、最後に真矢が昨年の出来事を死んじゃうんじゃないかと思ったと振り返り、その中でファンに力をもらったことを涙で声を詰まらせながら語り、最後は真矢らしく「大好きを通り越して大好キングです!」と笑顔で締めくくった。

アンコールも残りわずか。どんなときもLUNA SEAのアンコールを彩ってきた『WISH』だが、お決まりになっているイントロの<I WISH>の声援やこの曲の持つ多幸感をさらに増幅させる会場に降り注ぐ銀テープがないことに少しの寂しさを覚えながらも、それ以上にまたこの曲をライヴで聴くことができる喜びを噛みしめた。そして、SUGIZOの流麗なヴァイオリンの音色とINORANの暖かなアコースティックギターが会場を包んだ『so tender…』をラストナンバーにLUNA SEAの5人は13か月ぶりのステージに幕を下ろし、Jの「また明日会おうぜ!」の言葉とともにステージを後にした。そう、我々はあしたもLUNA SEAのライヴを見ることができるのだ。

取材・文:オザキケイト
写真:田辺佳子/橋本塁

《SET LIST》
  1. 1.LUCA
  2. 2.Déjàvu
  3. 3.Closer
  4. 4.Pulse
  5. 5.PHILIA
  6. 6.宇宙の詩~Higher and Higher~
  7. 7.静寂
  8. 8.Hold You Down
  9. 9.悲壮美
  10. 10.LOVELESS
  11. 11.BELIEVE
  12. 12.STORM
  13. 13.TRUE BLUE
  14. 14.IN SILENCE
  15. 15.I for You
  16. 16.ROSIER
  17. 17.TONIGHT
  18. ENCORE
  19. 18.Make a vow
  20. 19.WISH
  21. 20.so tender…

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