瀧川ありさ
「みんなで春を迎えましょう!」
彼女の成長と一足早い春の訪れを感じさせたワンマンツアーファイナル
確実に1歩1歩成長を遂げるシンガーソングライター瀧川ありさのワンマンツアー最終日。 ライブ終演時の彼女の言葉はまぎれも無く彼女の成長と一足早い春の訪れを感じさせるライブであった。 そんな東京・TSUTAYA O-EASTでの最終公演をレポートしたい。 そしてSTAGEならではの「楽器・機材に着目したレポート」であることも楽しんで頂きたい。
ツアーファイナルは瀧川ありさ自身初となるTSUTAYA O-EASTでのライブ、そして2018年の初ライブでもあった。 「Never Ending Crawl」から始まり4th Single収録「I know」へと、ファン・バンドメンバー共に今まさに始まったライブを行進し歩みだすようにテンポを徐々に上げ会場の熱気をグッと持ち上げる。
瀧川が持つギターは彼女のアイコンとも言えるGibson Firebird V、アンプは今ツアーから使用しているOrange Rockerverb50C MKⅢだ。 オレンジアンプはそのキュートなルックスもバッチリマッチしており彼女曰く「オレンジアンプはライブで最前に立っているお客さんも耳が痛くないサウンド」だそうだ。
「年初めのライブですが、皆にとって今年1年の記憶に残るライブになるように頑張ります」
そう言って披露したのは1st Single収録「ふたりよがり」と「night light」。 ギターをFirebirdからこれも彼女のメインと言えるアコースティックギターのMartin J-40へ持ち替える。 珍しいジャンボボディサイズのMartinには煌びやかな貝の装飾が施してあり客席から見てもその姿が宝石のように輝いて非常に美しい。
ピックアップにはFISHMAN Rear Earth Humbacker、プリアンプにはFISHMAN Aura Spectrum DIを使用している。 FISHMANの技術であるAura(オーラ)はその名の通り”身に纏う”ようにRear Earthピックアップのサウンドをリアルなマイクレコーディングサウンドへ変換してくれるPreamp DIだ。
Martinの40番台独特の高音が綺麗に響く、いわゆる「鈴鳴り」とジャンボボディのふくよかなサウンドが彼女のストロークにしっかりマッチしており、彼女の最も魅力的な武器がヴォーカルとしての「声」にあるとすれば、楽曲全体・バンドサウンドの底辺をしっかりと支えているのもまた、彼女のMartinの「サウンド(声)」であることが十分に分かる。
4th Single「Again」はハンドマイクスタイル。続く3rd Single収録「銀河鉄道の降り方」はアメリカのアコースティックブランド「Breedlove」のアコースティックギターを使用。 小ぶりで濃い木色が印象的なBreedloveはピックアップにLR.Baggsを搭載しておりMartin+Fishmanとはまた違う印象のサウンドだ。
ここへきて感じたのはミュージシャンが曲によってギターの音を選ぶように、瀧川ありさ自身も「night light」「Again」のようにしなやかで優々たる表情の魅力を感じさせる姿もあれば「銀河鉄道の降り方」では突き刺さる様なハイトーンヴォイスと透き通る瞳で憂いの表情を魅せる一面もあり、客席で観ていてヴォーカリストとしての魅力に一喜一憂させられるということだ。
「ファイナルを迎えられて感謝しています!」
「寒いのは苦手だけど、みんなを見ていると血流がよくなる」 という言葉に会場は笑いと笑顔で暖まるなか「Only One」はなんとエレキギターFender Jazzmaster 1本で弾き語った。 オレンジアンプ+Jazzmasterがここまで相性バッチリか!とオレンジアンプを鳴らした時に瀧川自身もそう思ったであろうメローでマイルドなサウンドは、コーラスエフェクターがうっすらと効果を与えており、いわゆる「サーフサウンド」だ! ギター好きとしては納得して真似したくなる組み合わせだったと言わざるを得ない。
「夏!感じられましたか?」「”海の家”でしたか?」
という彼女の楽しげな言葉。
いよいよ本格的な冬の寒さが訪れる東京の夜に彼女の一言一言に芯を持ったあたたかさを感じられたのは6th Single「ノーサイド」。 松任谷由実の1984年の楽曲をカバーし高校生ラグビーを題材としたアニメのエンディングテーマになっている。 先ほどの弾き語りとはまた言葉の届き方が違う。
「黒板」、1st Album収録「Journey」ではFirebirdとJazzmasterを使用し、ザクザクとオレンジアンプ独特のザラついたストロークサウンドでリズムを刻む。 「ヴォーカリスト」ではなく「ギタリスト」としての瀧川ありさの個性をアピールするには十分な内容であった。
「声出せますか?!」「じゃあ金曜の夜だけど」と、6th Single収録「SUNDAY」で会場は一気に春のような陽気になり幸福感に包まれる。 肩を組んで左右に揺れるファンと会場全体の「HAPPY感」にコール&レスポンスで応えあう。 そしてメンバー、瀧川自身もステージでアグレッシブに動き回るなか「ONE FOR YOU」「Goodbye,I love you」で会場の熱量は一気に最高潮へ。
「ライブをしている時はみんなのお陰で普段より体調が良いです!」 と笑わせながら「As time gose by」で本編を締めくくった。
アンコールではデビュー前に作ったという「風が聴こえる」と3rd Single「さよならのゆくえ」を披露し「はなれたくないからもう一曲」と5th Single「色褪せない瞳」を演奏。
「みんなで春を迎えましょう!」と言った彼女の言葉には春めいた陽気と暖かさ、ライブの多幸感と高揚感と共に彼女が確実に一歩一歩成長していく姿と一足早い春の訪れを感じる幸せ一杯のライブであった。
取材・文:日下部拓哉
撮影:小野寺将也
《SET LIST》
- 1.Never Ending Crawl
- 2.I know
- 3.ふたりよがり
- 4.night light
- 5.Again
- 6.銀河鉄道の降り方
- 7.Only One
- 8.ノーサイド
- 9.黒板
- 10.Journey
- 11.SUNDAY
- 12.ONE FOR YOU
- 13.Goodbye, I love you
- 14.As time goes by
- EN1.風が聴こえる
- EN2.さよならのゆくえ
- EN3.色褪せない瞳
瀧川ありさ
ニューシングル「わがまま」 2019.3.6 Release!!
昨年全国22か所を巡るアコースティックツアーも大盛況で終え、着実とファン層を拡大している瀧川ありさ。
そんな瀧川ありさが、1月クールのアニメ「ドメスティックな彼女」EDテーマを担当!
久しぶりのアニメタイアップともあり、注目度の高いシングルとなっている。
また、2019年5月6日には2019年初となるワンマンライブ”Altair”の開催が決定!