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Mellowsが、2周年を祝うワンマン公演『Mellows 2nd Oneman Live「Cute Metal Rebellion」』を、6月29日(日)にみなとみらいブロンテで行った。
後ろまで観客たちの詰めかけた場内には、情熱的なピアノの音色の印象的な楽曲が流れ続けていた。その旋律が激しいラウドな楽曲に染め上がるのにあわせ、メンバーらが次々とステージに姿を現した。Mio(Vocal)の手には、お馴染みの大きなフラッグが…。そして…。

腹の奥底へズシンッと響く重厚な音が轟きだす。その音を背に、Mioがお立ち台に上がり、手にしたフラッグを大きく振りながら歌いだした。ライブの冒頭を飾ったのが『Candy making』だ。身体中を鋭い音が突き刺す。その上で愛らしさを持った、でも伸びのある声を響かせるMio。Sally(Guitar)もGINA(Guitar)も一心不乱にリフメロを弾き倒す。轟音を撒き散らす演奏の上で響き渡るMioの聖なる歌声。3人に向けて、フロアから野太い声が上がれば、無数の赤い十字架型のペンラントや拳も突き上がる。その様は、まるで儀式のよう。3人の黒い女神たちへ思いを捧げる満員の観客たち。今宵の宴、これからどんどん荒ぶりそうだ。

フラッグを置いたMio。その姿を見るや、飛びだしたのが高速で激リフを刻むエクストリームでスラッシュな『Jumpink!』。かわいい声で煽るMioに向け、フロア中から熱い声が張り上がる。サビで、Mioの歌にあわせてフロア中の人たちが飛び跳ねる様や、次々と言葉を叩きつけて煽るMioの声にあわせて観客たちがヘドバンをしてゆく姿も、お馴染みの景色。ひと際高いお立ち台の上から、胸をキュンと揺さぶる歌をMioがフロア中へ降り注ぐ。両側には、みずからの位置に凛々しい様で立ちながら次々と音を繰り出すSallyとGINAの姿があった。

「みなさん、2ndワンマン楽しむ準備できてますか!!もっともっと手を振れますか!!」の声を合図に、次のブロックへ。
フロア中から響き渡るクラップの音。Mioの歌をリードに演奏が爆裂するのを合図に、『Death sentence』へ。唸りを上げて爆走する演奏に乗せ、甘い視線と歌声で観客たちを煽るMio。間奏ではSallyとGINAが、それぞれに自分の色を強く打ち出したソロプレイも披露。ステージ背景に設置した巨大なスクリーンにメンバーらの姿が映し出されれば、炎が吹き上がるなど、いろんなエフェクト効果も巧みに使いながらライブに彩りを与えていた。

ピアノの音色が流れだした途端、メンバー全員が頭にうさぎ耳のカチューシャをセット。活動初期からずっとライブにキュートとラウドな歌と音が交錯する熱情した景色を描き続けてきた『Rabbit Love it!』だ。激しく頭を振り乱して演奏するSallyらしく、早い段階で頭からカチューシャが落ちていた。重低音の利いたリフが身体を揺さぶれば、口ずさみたくなるポップでチャーミングな歌に気持ちがポッと染めあがる。フロアには、終始荒ぶる声と拳の突き上る景色が生まれていた。
ハウるギターの音から繋げるように、『AddicChu』へ。ミドルメロウな演奏に乗せ、Mioが比較的感情を抑えめに、でも、エモさも秘めて歌う。Sallyのロングトーンの演奏も、気持ちを嬉しくときめかせる。間奏では、2本のギターが互いに主旋を成す演奏を繰り出す。その後、メロウな表情を見せつつ、身体を揺さぶる演奏とエモメロな歌で、観客たちのハートをしっかり射止めていった。

ここで、MioプロデュースによるアイドルグループI Mellowsのメンバー候補生となる3人がステージへ登場。彼女たちは、次の曲のバックダンサーとして出演。ほんと、いい感じーな。このメンバーで披露したのが、アイドルソングの要素を備えた、キュートな歌始まりの『リボンズメモリー』。ダンサーたちの振り回す腕の動きにあわせ、フロア中の人たちも声を張り上げて腕をぐるぐると振り回す。とてもわちゃわちゃとした、ハードエッジ&チャーミングな楽曲だ。愛らしく迫ったと思えば、突然、轟音を響かせるメンバーたち。ダンサーたちも拳を振り上げるなど、ポップなのにカオスな様がそこには広がっていた。1曲の中、次々と転調しながらアイドル調/ラウドな様を描きだす楽曲のように、観客たちもこの曲ではアイドルノリとメタルノリの両方を楽しんでいた。

ここからは、ギター陣のブロックへ。最初に演奏をしたのが、GINA。アコギの演奏から始まった『蒼』では、すぐにエレキの演奏にシフト。美しくも伸びのある、しかも透明感を持った音色を次々と繰り出す。まさに「歌っている」という言葉が相応しい、触れた人の耳目と心をうっとり酔わせる演奏だ。まるで広大な宇宙空間へと響き渡るような、壮大さを持ってせまるようだ。途中、巧みにアコギの演奏も織り交ぜつつ、メロディーメイカーであり、美メロ好きなGINAらしく、美しくもスケール大きな蒼天の世界を、彼女はこの場に作りあげていった。最後にアコギの演奏で美しくブルーズに締めたところも素敵だ。

次にバトンを受け取ったSallyは、冒頭から歪みを上げた激烈&爆音が轟き渡る、まさにラウド/メタルな『Plot in Jealousy』を繰り出し、超絶爆音速弾きギタリストらしい魅力を存分に発揮。弦の上で自由奔放に高速で駆ける指の動きが、胸をくすぐる美メロな旋律を次々と繰り出していたのも印象的だ。得意のライトハンド奏法を繰り出し、この場に熱情した様を描きだす。緩急をつけた表情も巧みに組み込みつつ、終始、激しくも麗しいギターソロを繰り出し、観客たちの理性を奪い続けていった。


さらにこの日は、ドラムのShunjiとベースのToshiによるセッションも登場。ここでも、観客たちが野太い声を張り上げ、腕を高く突き上げるなど、2人はフロアをしっかりと巻き込む演奏を繰り広げていった。超絶技巧を持つメンバーたちが作り上げているMellowsの音楽だからこそ、楽器陣の演奏を披露するブロックでも、その魅力を遺憾なく発揮していた。
後半のブロックは、激しいリフを刻む音に乗せ、Mioが凛々しい声で『TV Paranoia』を歌いだしてスタート。とても情熱的な声だ。その歌声へ、毒々しい刺を与えるように演奏が繰り出される。高ぶる気持ちをぶつけるように歌うMio。その思いをギター陣が嬉しく押してゆく。曲が進むほどに演奏が激しさを増す展開も、最高だ。

ここからBPMが一気に、しかも超絶にアップ。激烈ラウドでエクストリームな高速メタルナンバー『Fading Melody』が飛びだした。演奏陣は徹底して攻めた姿勢で迫る。ときどき荒ぶりながらも、Mioの歌は雄々しくも、心を揺さぶるエモさを見せていた。とはいえ、4人の楽器陣がここぞとばかりに攻撃的な演奏を高速で繰り出すだけに、フロア中の人たちも感情も身体も激しく揺さぶりながら、次々飛び出す激しい演奏にあわせて騒ぎ狂っていた。
ドラムカウントを合図にSallyとGINAが交互に、そして、共に歪む攻撃的なリフを刻みだす。『Bad Player』でも、楽器陣はもちろん、Mioも手にしたペンライトをフロアへ突き刺すような姿で観客たちを煽り、挑みかかる様を見せていた。徹底して攻撃モードに染まったMellowsの姿も、とても刺激的だ。愛らしさの中に秘めた牙を剥きだしたような様で歌うMioの姿も、とても挑発的だった。
攻撃的な演奏は、さらに鋭さを増してゆく。エレクトロな要素も巧みに魅力に加えた『シールインサイド』では、美しさと激しさそれぞれの面を歌と演奏が各々担う形で表現。Sallyが激烈なリフを刻めば、GINAはハウリングした音で刺激を与える。Mioも、エモさの中へ雄々しさを抱いた声を持って、クール/ラウド/スケール大きな世界をこの場に描きだしていった。徹底して攻撃的な姿勢を示したこのブロックでは、終始、Mellowsの持つ野生味や、剥きだした感情で挑むメンバーらの荒々しい様を感じていた。

MCを挟んで最後のブロックへ。荒々しく攻める同期の音の上へ、楽器陣がさらに攻撃的な演奏を塗り重ねる。『POCket.』では、メンバー全員が気持ちを前のめりに攻めた姿勢を見せれば、フロア中の人たちも、今まで以上に荒ぶる声を張り上げてゆく。サビ歌で超絶キュート&ポップに転調するからこそ、この激しさがより際立って聴こえる。Mioの歌に向けて「Oi!Oi!」と声を張り上げる観客たち。かなりメタル寄りとはいえ、キュートさが際立っているからこそ、そのコントラストがとても印象深く見える。だから、フロア中から野太い声が上がり続けていた。
心を野獣に染め上げたMioが、ペンライトを突き上げて『Beat Beast』を歌いだした。その姿に向け、フロア中から野太い声が止めどなく上がる。気付いたら、フロア中が突き上げる拳であふれていた。この曲も、ラウドに攻めていたかと思えば、急にかわいく転調してゆく。雄々しくも過激な姿の中から突然かわいさが見えてくることで、そこに気持ちが強く引き寄せられる。とはいえ、この曲では終始煽り続ける様をMellowsは描きだしていた。
さぁ、心を笑顔に染め上げようか。Mellowsは、開放感を持った明るくも激しい『Pretty guardian』を演奏。フロア中の人たちも笑顔で拳を振り上げ、間奏ではSallyのソロに向けて拳を突き上げる様を見せるなど、みんなが心を晴れた色に染め上げ、楽しくはしゃいでいた。互いに荒ぶる感情をぶつけあうのも嬉しいが、一緒に心を解き放ち、上がっていけるのも楽しさだ。

最後にMellowsは、バンドの始まりを告げた『秘密closet』を演奏。キュートな表情のときには、Mioの愛らしい歌声にあわせて観客たちがクラップをし、ラウドな牙を剥きだした途端に激しく拳を突き上げる。途中には、メンバーと観客たちが一緒にヘドバンしてゆく様も登場。背景にMVの映像を投影していたのも嬉しい効果。キュートとメタル、2つの要素をこれほどまで際立たせた曲はないというくらい、『秘密closet』はMellowsらしさを濃縮した楽曲だ。言ってしまえば、彼女たちは最初から完成形を作りあげて始まり、そこから、こんなにも彩り豊かに華激さの枝葉を広げてきたということだ。

アンコールの最初に演奏をしたのが、新曲の『愛してエデン?』。とてもスケール大きくも激しいシンフォニックなメタルナンバーだ。跳ねた演奏に触れていると、自然と身体が揺さぶられる。軸にあるのは、攻撃的な演奏を繰り出すメタルなスタイル。Mioは雄々しき様で歌いながらも、サビではエモい表情も見せてゆく。サタニックならぬエンジェリックメタルな楽曲だ。でも、だいぶ黒い演奏も見せてもいたが…。

最後の最後にMellowsは、『未完成』をブースト。ザクザクとしたエッジ鋭い音を刻むSallyとGINA。Mioも高ぶる気持ちをキュートでエモい声に乗せて歌っていた。フロア中の人たちも、ペンライトや拳を振り上げて熱狂し続ける。クライマックスに相応しい熱情した景色を描きあげ、Mellowsのライブは熱狂の様を描きだして幕を閉じていった。でも、まだまだ彼女たちは進化の途中。未完成な存在。これからどんな風に進化した姿を見せてゆくのかが楽しみだ。
PHOTO:鶴田健吾
TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- 1.Candy making
- 2.Jumpink!
- 3.Death sentence
- 4.Rabbit Love it!
- 5.AddicChu
- 6.リボンズメモリー
- 7.蒼(GINA)
- 8.Plot in Jealousy(Sally)
- 9.Dr Bass セッション(Shunji&Toshi)
- 10.TV Paranoia
- 11.Fading Melody
- 12.Bad Player
- 13.シールインサイド
- 14.POCket.
- 15.Beat Beast
- 16.Pretty guardian
- 17.秘密closet
- -ENCORE-
- EN1.愛してエデン?
- EN2.未完成