目次
「運命の人」の大合唱。その声がずっとずっと心に響き続けていた。
今年1月に3rd Digital EP『君にもらった愛』をリリース。2月より全国ツアー「パーカーズSPRING TOUR『I LOVE YOU KIMI NO ZENBU』」を通し、全国各地を巡ってきたパーカーズが、ツアーのファイナル公演を3月28日に恵比寿リキッドルームで満員の観客たちを前に行った。
大勢の観客たちのざわつく声が響き渡る場内。暗くなった会場中に流れだしたメンバーらの前説トーク。先に、コミカルな会話でニヤッとさせてきたのが嬉しい。ライブへの期待を煽る会話を受けてSEが流れだす。その音が鳴り出したのを合図にフロア中の人たちが熱いクラップを始めた。観客たちの手拍子へ導かれるように、メンバーが次々とステージへ。一人一人現れるたびに起きた歓声。観客たちの期待は、すっかり熱くなっている。あとは、最高の音をぶち噛ましてくれるのを待つだけだ。

ライブは、「I LOVE YOU KIMI NO ZENBU」と声をぶつけあう最新シングルの表題曲『I LOVE YOU KIMI NO ZENBU』からスタート。彼らは「僕の声響け 遥か彼方」「君に届け「愛している」」と歌いながら、満員の観客たちと一緒に想いを一つに重ねてゆく。4人が、真っ直ぐな気持ちでぶつけてくる「愛している」の言葉を全力で受け止めたくて、フロアのあちこちで数多くの拳が突き上がっていた。メンバーのことを想い、慕うたびに気持ちが熱くなる。ステージの上から届く「君に届け「愛している」」の声や演奏に、思いきり「好き」の気持ちをぶつけずにいられなかった。

「四六時中アイオンチュー、アイラブユー、アイミスユー、君が好き」と、豊田賢一郎(Vocal/Guitar)が『おねがい神様』を歌いだした。どこか甘えた素振りで、でも、決して着飾らない姿で気持ちを投げられると、心がドキドキする。悶々とした、どこか青臭い恋する想いを真っ直ぐに届けるからこそ、受け止めた側も自然と心がにやけ、気持ちが弾みだす。だから、彼らの奏でるビートに心地好く身を預け、拳を振り上げ、一緒にサビ歌をシンガロングしたくなる。メンバーらが「ねぇねぇねぇねぇ神様」と歌うたび、神様の代わりにその思いを叶えてあげたくなる。でも、その思いが叶うとは限らない。そんな親しみあふれながらも、恋愛下手な微妙な距離感を覚えさせる彼らの人間性が、むしろ好きだ。

チャイニーズかつオリエンタルな旋律に乗せて奏でたのが、『中華で満腹』。演奏が始まった途端、タオルを振り回しながら豊田賢一郎が歌いだした。その様に合わせて、フロア中の人たちが手にしたタオルを思いきり振り回し、一緒に声を上げてはしゃぎだす。くるくると力強くまわるタオルが客席中を埋め尽くす景色は、圧巻だ。熱狂を生み出すこの場にいるんだもの、その景色の中へ飛び込み、共に騒ぐのも当然だ。途中、メンバーと観客たちが「麻婆豆腐」「麻婆豆腐」、「油淋鶏」「油淋鶏」、「坦々麺」「坦々麺」など、美味しい中華料理の一品一品の名前を掛け合う様も登場。ときにはアレンジバージョンにして、「ツアー中に食べて美味しかった」とメンバー内で評判だった「つけ麺」をコールしあえば、「パーカーズ」「パーカーズ」と言葉をやりとりする様も加えながら、熱い思いを交わしていた。互いに声をぶつけあうたびに満腹どころか、もっともっと美味しい熱狂を求めたくなる。それが、素直な気持ちだ。フロア中でくるくる回る数多くのタオルの景色が、最高に熱かった。
MCでは、観客たちへ向けてメンバーらが「今日はもっと熱くすっからな」と思いを伝えていた。
豪快に演奏をぶつけ、触れた人たちのテンションをアゲアゲにしてゆく、アッパーで甘酸っぱいラブリーチューンの『BERRY』から、次のブロックはスタート。豊田賢一郎が「もっとBERRY BERRY」と歌うたびに、恋に落ちたときのように心がときめきだす。パーカーズのかけた楽しくも甘酸っぱい恋の魔法は、触れた人たちの心を無条件でドキドキさせる。普段から着飾ることのない、どこかおちゃらけた親しみやすさを覚えるメンバーらから勇気を振り絞った愛の告白を受けるたび、一瞬ポッとなるが、むしろ、こちらが照れてしまい、一緒に照れを隠すようにはしゃいでしまう。そんな甘酸っぱい、親しみやすくもドキドキとした感覚を、『BERRY』に触れている間中感じていた。

軽快に、でも、気持ちをズキューンとときめかせるようにナオキ(Guitar)の弾くギターの旋律が流れだす。その演奏を、シャキシャキッとした音でねたろ(Guitar)が支えてゆく。パーカーズが届けたのは、後ノリのビートや歌も心地好い『GOOD DAY』。この曲に触れていると、心に太陽の陽差しが差してゆくようだ。歌詞の一節ではないが、ほんと「いい日になりますように」と願いたくなる。いや、すでにこの日のライブを通して、みんな「いい日に」なっていた。身体が自然に揺れるのも、パーカーズの演奏に触れて気持ちが心地好くなっていたからだ。日々の暮らしの中、ちょっとした不平や不満が積もって大きくなりだしたとき、この歌に触れていると、その日がなんとなく素敵な日に染まっていく。無理やり気持ちをカラッと晴れ渡らせるのではなく、豊田賢一郎が「いい日になりますように」と歌うたび、心を笑顔にする優しい陽差しが差してゆく。降り注ぐ、その声の光がとても気持ちいい。
しっとりと、でもエモーショナルに豊田賢一郎が『Goodbye』を歌いだした。さっきまでの楽しい空気から、ガラッと色が変わる。緩急を付けながら次々と転調してゆく演奏に乗せて描かれる、切なくもエモい気持ちに染めるドラマに触れながら、胸をキュッと疼かせていたかった。でも、悲しい思いなど全部吹き飛ばしちゃいなよと言うように、落ちサビ以降から力強く駆けだしたエモーショナルな歌声や演奏に触れていたら、何時しか心が晴れていた。そんなもの悲しさも、旋律の数々や豊田賢一郎の歌声が軽やかに弾みだすのに合わせて、彼方へポーンと吹き飛ばしてしまいたくなっていた。

パーカーズには、着飾らない、でも、どこか照れた様を誤魔化すような言葉を乗せた歌がとても似合う。『Love is over』に触れながら、甘酸っぱくもメランコリックな、でも、ベタベタに熱い男の恋心を思いきり感じていた。豊田賢一郎が強くエモい演奏に乗せて「君を忘れないよ」と歌う声に触れるたび、フロア中からもたくさんの拳が突き上がり、共に声を掛け合っていた。ちょっと不器用な、その恋する心模様が、触れた人たちの胸を熱く、熱くしてゆく。
この日が9公演目。ツアーを通してファンたちと触れ合ってきた中で感じた、出会いや別れ。その中で感じてきた思いを、豊田賢一郎は真っ直ぐな言葉にして語っていた。「自分らしくいること」。その言葉を力に、パーカーズは今もこうやって音を響かせている。
「不器用でも失敗してもいいから、自分らしくいてください」の言葉に続いて歌ったのが、『少年少女よ』。もどかしいけど、でも、夢や情熱だけは胸いっぱいに溜め込んでいたあの頃の自分を思い返すように。いや、今でも胸の奥にたくさんの夢や情熱という熱を溜め込んでいる自分を奮い立てるよう、彼らは『少年少女よ』を高らかに歌い奏でていた。
4人の演奏に触れていたら高ぶる感情を抑えられなくなっていた。かつての少年少女たちも、沸き立つ熱い思いをステージの上の4人へ送るように、たくさんの拳を突き上げ、力強く両手を叩いていた。これからもずっと”あなたらしく”いてほしい。そんな風に思いを交わす景色が、この瞬間に生まれていた。

フカツ(Drums)のドラムカウントを合図に、『旅するココロ』へ。曲が走り出した途端、フロア中から無数の拳が突き上がる。メンバーらは、音楽を通して思いきり感謝や愛情をぶつけてきた。汚(よご)れなき真っ直ぐな演奏と歌声に乗せて、汚(けが)れなき素直な思いを4人は伝えていた。心が動くなら、動いたままの気持ちを何色にも染めずにぶつければいい。パーカーズが届けた、応援し、支えてくれる仲間たちへ向けての感謝の思いが、胸の中でどんどん膨らんでゆく。不器用だけど、情熱的な奴らだと思う。だからこそ、その歌声や演奏に触れていると心が震え、奮い立つ。

「この目に映る日常が どうなってもなくならないように」と、豊田賢一郎のアコギによる弾き語りから演奏はスタート。「もう誰にも奪われないように」と歌う声が、温かく胸に届いていた。この曲でも豊田賢一郎は、胸の奥底から沸き立つ熱い想いを真っ直ぐに歌っていた。そこへ演奏が加わるのを合図に、『愛の病』が、ずっしりと重い思いの塊になって胸に響いてきた。言葉のひと言ひと言に愛しさを詰め込んで、彼らは歌い奏でていた。だから、ナオキ、ねたろ、フカツ。そして、サポートベーシストのタクオが作り出した雄大な演奏を通して届く、ハートを持った言葉の一つ一つをしっかりとつかみ取っては、胸の内でギュッと抱きしめていたかった。
MC中、メンバーから届けられたツアーを通して抱いた感謝の思い。ナオキのメンバーを描いたイラストの公開などを通し、ライブは早くもラストブロックへ。
「辛いときほど手をとって助け合うのだ」と豊田賢一郎が『ハッピーをちょうだい』を歌いだすのに合わせて、フロア中からもハッピーを感じた大勢の人たちのクラップが響きだす。途中、メンバーと掛け合いと拳を交わす場面も登場。タイトルに記した「ハッピーをちょうだい」の言葉通り、この場には、互いに幸せを分かち合う人たちによる温かい思いのやりとりが生まれていた。「ハッピーをちょうだい」と歌う声が響くたびに、その幸せをつかもうと、たくさんの手がステージの上に伸びていた。この楽しさを交わすことで、ふたたびこの場に多幸感が生まれていた。

「いつも側にいてくれてありがとう」の言葉を合図に、楽曲が力強く駆け出した。飛び出したのが、『怪獣万歳!』。メンバーらが「怪獣万歳」と歌うたびに、フロア中の人たちが掲げた手を力強く左右に振り続ける。さぁ、ここからもっともっとハッピーをアップしていこう。ここにいる誰もが、心の中の怪獣を曝け出し、一緒に熱情した想いをぶつけ、高めあっていた。いつしかこの空間で、自分の心を開放したモンスターたちが楽しそうにはしゃいでいた。

ここは、楽しいと幸せと熱狂をむさぼり喰らう、様々なモンスターたちが集った楽しい動物園。みんなのテーマ曲をパワフルにぶつけるように、パーカーズは『Zoo』を演奏。ここにいる一人一人が心の中の檻をぶち壊し、恵比寿リキッドルームという大きな動物園の中へ一つに集まり、パーカーズの演奏に合わせて拳を突き上げ、楽しい音楽を満腹になるまで食べ続けていた。途中には、豊田賢一郎と観客たちによる歌のやりとりも登場。理屈も屁理屈も関係ない。今はただ楽しめばそれでいい。何故ならここは、自由が支配する楽園なのだから。

「いつまでもあなたのナンバーワンでいれますように」。最後にパーカーズは、「ナンバーワンになれなくても」と、エモーショナルソングの『ナンバーワン』を歌い奏でていた。彼ら流の真心を持った熱い思いが、胸へダイレクトに飛び込んでくる。だから、その熱くエモい思いへ、同じように熱くエモい想いを重ねずにいられなかった。「世界で1番大切なもの」と、ずっと一緒に歌っていたかった。

フカツの叩くドラムビートに合わせ、メンバーが次々とステージの上に姿を現した。パーカーズのメンバー紹介に続き、アンコールは『君が好き』からスタート。演奏が始まった途端、この空間がとても華やいだ景色に染まった。彼らの演奏に触れていると、無性に心がウキウキと弾み、掲げた手を振りながら、ステージの上からあふれでる音を次々と身体の中へ掻き集めたい気分になる。それはきっと、互いに、本気で「君が好き」という思いを交わしあっていたからだ。両思いなのに、互いに片思いのように情熱をぶつけあう関係性が、この幸せに繋がっていたのかも知れない。今は、ただただ愛情にいっぱい包まれた、この幸せな時間と空間が永遠に終わらなければいいなと思っている。その気持ちでいられることに、幸せと楽しさを覚えていた。

ここで、ファンクラブ設立のお知らせ。サポートベースのタクオが正式メンバーに加入。来年1月30日にZepp Shinjukuでワンマン公演を行うことを発表。この瞬間から5人のパーカーズになったメンバーたちは、ここへ至るまでに感じてきた色々な運命や思い、誰かの心の支えになれたらという気持ちや、出会えたことへの感謝の思いなどを改めて噛みしめていた。そのうえでパーカーズは、最後の最後にこの曲を届けてくれた。

「君は運命の人」と、運命を感じた人たちとの出会いへ喜びと感謝を覚えながら、豊田賢一郎が弾き語りで『運命の人』を歌いだした。彼らと出会えた運命に喜びを覚えながら、フロア中の人たちも、その歌をじっと受け止めていた。楽曲が走り出した途端、振り上げた拳や手拍子を通して、運命の人(パーカーズ)と出会えた思いを5人に伝えていた。メンバーらも、運命の出会いを感じている満員の観客たちに向け、繋いできた絆をもっときつく結ぼうと。そして、同じ運命を感じあえる仲間たちをもっともっと呼び入れ、一緒に運命の輪を広げようと約束を交わしながら、思いを分かちあっていた。最後に生まれた、観客たちによる「運命の人」の大合唱。その声がずっとずっと心に響き続けていた。
さぁ、この運命を、次は2026年1月30日にZepp Shinjukuで行うワンマン公演に繋げよう。

TEXT:長澤智典
《SET LIST》
- 1.I LOVE YOU KIMI NO ZENBU
- 2.おねがい神様
- 3.中華で満腹
- 4.BERRY
- 5.GOOD DAY
- 6.Goodbye
- 7.Love is over
- 8.少年少女よ
- 9.旅するココロ
- 10.愛の病
- 11.ハッピーをちょうだい
- 12.怪獣万歳!
- 13.Zoo
- 14.ナンバーワン
- -ENCORE-
- EN1.君が好き
- EN2.運命の人
パーカーズ
【 ワンマンライブ情報 】
●2025年5月30日(金)
DaisyBar 20th anniversary パーカーズ Special One Man Live@下北沢DaisyBar
●2026年1月30日(金) Zepp Shinjuku
【 イベント出演情報 】
7月5日(土)・6日(日)見放題大阪・見放題名古屋
7月26日(土)・27日(日)ムロフェス@横浜赤レンガ倉庫