メロディアススピードメタルの祭典で轟かせたメロスピ愛!!

3月22日、日本屈指のHR/HMレーベルでもあるアヴァロンレーベルが主催し、3大ヘッドライナーとして開催されたフェス、「LEGENDS OF AVALON」。
新たにレーベルに所属した橘アンジュ、日本のメロスピシーンを牽引するUnlucky Morpheus、レジェンド マーティ・フリードマン、そしてレーベルのフラッグシップアーティストとして立ち上げと共に生きて来たSonata Arctica。
正にメロディアスに重きをおいた顔ぶれが出演した豪華なフェスとなった。
そのラインナップの中でも現在のアヴァロンレーベルが誇り、そしてその歩みを止めないバンドPhantom Excaliverのライブを今回はレポートさせて頂きたい。

オープニングアクトとして橘アンジュと共に出演が決まり、タイムテーブル順でも2番目に位置していたPhantom Excaliver。
先に出演していた橘アンジュ氏の時点で体感ではあるが会場の8割程が埋まっている印象を受ける程観客も入っており、日本のメロスピシーンが健在な事を改めて実感した。

楽曲も疾走感のある曲が続き、会場の盛り上がりも徐々に上がって来た所で2バンド目として出演したPhantom Excaliver。
彼らをまだ知らない観客達の中には筆者の耳にも「お笑いバンドでしょ?」「色物枠だよね」等の声が聞こえていたがその考えはこの後直ぐに変わる事となる。

暗転しKacchang(Vo.)が語るSEが会場内で響く中Yusaku(Dr.)、Tomo-P(Ba.)、Matsu(Gt.)が現れ、そして最後にKacchangが現れた時には会場の至る所でメロイックサインや拳が突き上げられていた。
1曲目はアヴァロンレーベルへ移り、発売された3rdアルバムよりバンドを象徴する曲の一つ『LEGEND OF THE SWORD』。

ステージにはお馴染みの光る聖剣を手にしたKacchangがステージのスタートから観客を煽り、イントロの勇壮感と爽やかなリードトーンを奏でるMatsuの音色、そして筆者がこの日特に感じたのがベースであるTomo-PとドラムのYusakuの音が前に出ている音作りが印象深く、リズム隊の演奏がいつも以上に聴こえていた。
ベースのうねりと硬質な音色、バスドラの刻みのまとまりの良さや金物周りの力強いヒット感はもちろんの事だが改めてこの二人という的確なリズムキープが行えるメンバー居るからこそPhantom Excaliverらしい疾走感のある楽曲が可能なんだなと再認識させられた。

2曲目はWacken Open AirやRock Imperiumでも話題となり、今や代表曲の一つともなった『やっさっさ』を披露。
会場を一気に自分達の色に染め上げるキラーチューンらしいキャッチーさと親しみやすいシンガロングは老若男女問わず多くの人が笑顔で手を掲げ、楽しんでいたのが印象的だった。

3曲目には王道のメロスピスタイルを持った『DRAGON AVENGERS』。
普段グロウル調のKacchangのボーカルだがこちらではクリーンでの上手さが際立ち、Matsuのハイトーンボイスと対照的な暖かく、骨太な声色が力強さを感じさせてくれる。歌詞も希望を感じさせ、ウォーウォーウォーというシンガロングパートもこれぞメロスピの醍醐味と言える。

4曲目にはこちらもやっさっさと共に話題となった『乾杯』。
こちらも会場を巻き込んだ乾杯コールからの怒涛の疾走パートへ突入し、何処かフィンランド感を感じさせるメロディラインと共に自然と身体も動く。会場内でも乾杯コールと共に飲み物を掲げていた観客も多く、海外フェスでも人気曲だった事が伺える観客の掌握力が強い曲だ。
途中からは先程色物枠だと言っていた観客達も拳を挙げ、笑顔でシンガロングをする程までになっていたのはこのバンドの人を惹きつける強さ、楽曲のキャッチーさ、それらを再現する技術力、そして彼ら自身が持つファンとの距離が近い親しみやすさから生まれている。

5曲目には矢作チーフディレクターが好きだという紹介からの『RAINBOW』。
曲全体を通しても爽やかさを感じさせる曲調と共にKacchangのクリーンボーカルとMatsuのハイトーンが心地良く、メロスピらしい勇壮さを感じさせながらもJ-POPらしさもある楽曲。

6曲目にはバンドの代名詞ともなったフレーズ冠した『メタルは裏切らない』を披露。
フロアの熱気も更に上がり、疾走感のある楽曲らしいヘドバンをする観客達が多く見られ、Metal Never Betrays Usというメタル愛に溢れるコールも多くの人が全力で叫んでいた。

ライブも終盤に差し掛かって来た7曲目には『KINGDOM』。
レーベル契約後の新たな門出と前へ突き進んで行くという力強いメッセージ、観客と一緒に作り上げるPhantom Excaliverのライブという名の王国をイメージさせる曲名に違わぬ楽曲は観客達にも伝わっており、曲終盤には殆どと言って良い程の観客がメロイックサイン掲げ、讃えていた。

最終曲には初期作より『THE REBELLION』を持って来た。
2023年のWacken Open Airにて行われたWacken Metal Battle 2023でも披露された疾走チューン。
この日の思いを出し切るかの様な熱さのあるステージが披露され、シンガロングパートの声も大きく、お馴染みの目隠しギターソロパートもコミカルさを演出した見て聴いて楽しめる、Phantom Exaliverらしいエンターテイメント性に富んだライヴとなった。

最終的には客席もほぼ満員に近い程の人が入っており、途中のMCでも発した「メタルコアやデスコアの楽曲を増やした方が良いと言われたがそうじゃないんだよ。メロスピにはメロスピにしか無い言い表せない熱さがある」という言葉がいかにこのバンドがメロスピ愛に溢れ、シーンへのリスペクトを持っているかを感じさせられた。

また、レーベルへ連れて来てくれた矢作チーフディレクターにも感謝の意を述べたりなど彼らが愛されている事もこういった「感謝」というバンド全体の真面目さからも見て取れる。
その後公演はソールドアウトと成り、後に控えるレジェンドや先輩達に負けないオープニングアクトを果たしたPhantom Excaliver。

6月29日にはPure Rock Japanへの出演も決まり、今後も国内外での活躍が楽しみである。
俺たちは決して負けない、という精神で突き進んで欲しい。

取材・文:古場基将
Photo:ライチ (@litchi_lp)

《SET LIST》
  1. 1.LEGEND OF THE SWORD
  2. 2.やっさっさ
  3. 3.DRAGON AVENGERS
  4. 4.乾杯
  5. 5.RAINBOW
  6. 6.メタルは裏切らない
  7. 7.KINGDOM
  8. 8.THE REBELLION

Matsu(Guitar, Vocal)使用楽器・機材紹介


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