竜馬四重奏が作り出した、心踊り華やぐ、宴の場。
ヴァイオリンの竜馬、津軽三味線の雅勝、篠笛の翠、鼓の仁、それぞれの分野で卓越した技術を誇る4人が、「日本の魂、伝統楽器の魅力をより多くの人に知ってもらいたい」という強い想いを持って立ち上げたのが、竜馬四重奏。彼らが、メジャーデビュー10周年を祝い、「これまでの10年への感謝と、次の10年への誓いを音で描く旅」を胸に3月から始めたのが、竜馬四重奏 10th Anniversary Tour「維新伝心」だ。ここに、5月23日に常陸太田パルティホールで行った公演の模様をお届けしよう。
第一部

胸を揺さぶる刺激的なEDMのSEに乗せてメンバーがステージに姿を現した。読経のような声が響き、雅勝が手に携えた津軽三味線をバチで鳴らす。躍動した同期のリズムが鳴り響く上で、翠の篠笛が音色を響かせる。そこへ重なるように竜馬のヴァイオリンが哀愁を帯びた旋律を重ねた。少しずつ熱を帯びてゆく演奏。仁の鼓の音が高らかに鳴るのを合図に、『connecting_Stand Up』が始まった。背景に同期音も用いているとはいえ、4人の演奏する和楽器の音が、「よぉ~」の掛け声を合いの手に、ときに掛け合い、綺麗なアンサンブルを描きだす。舞台の上で演奏が踊るからこそ、一緒に心を弾ませたくなる。1曲の中で躍動と哀愁、2つの表情を組み合わせながら、その音楽は観客たちの心を弾ませていった。

軽やかに、そして心地よく、まるで春風に呼ばれるように、翠の篠笛と竜馬のヴァイオリンの音色が艶やかに舞い踊る。華やかな音を奏でる同期の音の上で、仁が様々な打楽器を用いて演奏に刺激を与えれば、雅勝の津軽三味線も跳ねるような演奏を通して彩りを濃くしていく。『京都express』、鮮やかな宴の花が咲き誇る古の街へと誘うような雅な楽曲であり、演奏だ。雅勝と翠が、互いの音色へ導かれるように寄り添う姿も印象的だ。仁の掛け声を合図に、楽曲がより華やぎだす。竜馬四重奏の奏でる音の列車に乗って、今は胸を躍らせていたい。
吹きすさぶ風の音と仁の掛け声をきっかけに、4人の演奏が荒々しく駆けだした。『風神』を通して彼らは、その身に風神を降ろし、躍動する鼓の音の上で、勇ましい演奏を鳴らしていた。曲が進むごとに、演奏が荒々しさを増す。竜馬と雅勝が互いの身を寄せて旋律を交わし、翠の篠笛も高らかな音を響かせる。いつしか仁も鼓を手に立ち上がり、3人の演奏に、雷鳴のような音を描き加え、ここに風神を降臨させていった。

竜馬四重奏は、いろんなカバー曲も演目に取り入れながらライブを進めていく。一青窈の『ハナミズキ』では、三味線が耳に馴染んだメロディーを奏でれば、篠笛の音色が哀愁を加えだす。さらに、ヴァイオリンの演奏がサビのメロディーを奏でたときには、瞼が滲むような感動さえ覚えていた。仁の叩く打楽器の音が、曲に心地よいアクセントを与える。『ハナミズキ』では、3人が、それぞれの楽器の特性を生かしてお馴染みのメロディーを奏で、アンサンブルを描く。そのたびに、涙を誘うその音色と演奏に心が引き寄せられていた。どの曲もそうだが、仁の掛け声を合図に鳴らす鼓の音が、楽曲に印象深いアクセントを付けていた。
とても勇ましい始まりの調べから、童謡の『あんたがたどこさ』へと繋がる展開が斬新だ。原曲も跳ねた要素を持っているが、BPMを一気に上げ、しかも力強く演奏することで、幼少の頃から親しみを覚えていたあの楽曲が、雄々しい演奏で気持ちを踊らせる祭り曲のように進化していた。オリジナル曲の魅力を生かしたうえで、大胆な解釈を持って攻めるところに、竜馬四重奏としての個性を感じずにはいられなかった。

それは、YMOの『RYDEEN』のカバーにも言えること。まさに雷電の化身と化した4人が、お馴染みの旋律をそれぞれに奏でながらも、一音一音に強い意志を漲らせて演奏していた。正直、じっとしているのがもどかしいくらい、心も身体も踊らせる演奏の数々に触れていたら、いつの間にか笑顔になってその演奏を見つめていた。4人が高く掲げた手を振る動きに合わせて場内でも同じ動きが生まれ、演奏に合わせて手拍子をする人たちも生まれていた。
第一部の最後を彩ったのが、『HANABI』。ヴァイオリンの旋律が打ち上げ花火のような音を鳴らしたうえで、夜空で花火が咲くように、演奏が華やぎだす。夜空をいろんな文様で彩る花火のように、彼らの演奏も、ときに勇ましく、ときに揺らめくように、でも、躍動した同期のリズムに乗せて、ずっと気持ちを上げてゆく彩り豊かな旋律の数々で、観客たちの視線の先に、鮮やかで華やかな花火が次々と打ち上がる景色を描きだしていった。
第二部

第二部は、『夜明け』から始まった。ジャジーでアバンギャルドな要素も交えたセッションから、演奏は荒ぶる音を戦わせるように、激しく、雄々しく唸りだした。まるで、互いの意志をぶつけあい、ともに高めあうようだ。その演奏は、未明から夜明けを告げるというよりも、新たな目覚めのときを告げるようにも感じられた。
続く『暁』でも、奏でる一つひとつの音が物悲しさを携え、哀愁を帯びていようとも、芯に力強さを持っているからこそ、 その演奏に熱を感じていた。『夜明け』『暁』と続く流れもドラマチックだ。解釈はそれぞれだろうが、個人的には、穏やかな朝を迎えるというよりも、ここから新しい刺激が目覚め、胎動し始めたようにも感じていた。
仁の打楽器が、雨の音を作りだす。その音へ、翠の吹く篠笛の音が物悲しい色を重ね、竜馬のヴァイオリンが『雨』の旋律を奏でだした。主軸となるメロディーをヴァイオリンと篠笛が響かせれば、津軽三味線の演奏、鈴の音などが表情を際立たせる。たおやかで優しい演奏にずっと抱かれていたい気分で、4人の奏でる音に身を委ねていた。

竜馬四重奏がSMAPのカバー曲『世界に一つだけの花』を奏でたのを合図に、観客たちが演奏に身を委ねるように身体を揺らしだす。中には、ヴァイオリンや篠笛、津軽三味線の音色に合わせて、一緒に口ずさんでいた人たちもいただろうか。温かくて、優しくて、穏やかなのに、サビになると音の花が咲くように彩りを増していく演奏に、ずっと心地よく身を委ねていた。仁が「よぉ~」と掛け声を入れながら手を振る動きを真似て、場内でも多くの手が左右に揺れていた。
ここから、観客たちを胸踊らせる宴の場へ誘い入れようと、竜馬四重奏は、和製ファンクナンバーの『浮世JAPAFUNK』を奏でて、観客たちの気持ちも身体も熱く疼かせた。跳ねたビートの上で、雅勝の津軽三味線の演奏や仁の叩く鐘の音が、祭りのリズムを刻むように跳ねた音を打ち鳴らす。篠笛の翠とヴァイオリンの竜馬が、リズムに合わせて身体を揺らしながら演奏をする姿も、気持ちを騒がせる嬉しい魅力だ。4人ともファンキーなサウンドに乗せて踊るように音を奏で、叩き、この場を華やかな景色に染めあげる。中で見せたそれぞれのソロプレイも、楽曲に刺激的な色を加えていた。

バナナラマもディスコスタイルでカバーし、大ヒットさせた『VENUS』の始まりでは、竜馬と仁が高く右手を掲げて立っていた。そこへ、翠が高らかに篠笛の音色を響かせた。そこから一気に、楽曲はうなりを上げて駆けだした。和楽器とディスコナンバーのミックスは、とても親和性を持っていた。仁の掛ける合いの手が、胸踊らせる和ディスコ曲としての独自性を与える。気づいたら観客たちも立ち上がり、身体を揺らす華やかな演奏に合わせて手拍子をしながら、身を揺らして楽しんでいた。メンバーが横一列に並び、リズムに合わせて正面、右、後ろ、左に動きながら演奏をするパフォーマンスも見せながら、観客たちを、宴を彩る祭り人へと変えていった手腕は、流石だ。

「Rising Sun」と叫んだ声を合図に始まった『Rising Sun』でも、4人はパフォーマンスを加えた演奏を見せ、仁もひと際大きな声で掛け声を入れながら、この場を和楽器×ダンスロックというスタイルに昇華し、観客たちの気持ちを騒がせた。途中、メンバー紹介を兼ねたソロ演奏も組み入れ、ときに「Hi! Hi!」と熱い掛け声も交わしながら、情熱のほとばしる演奏を通して、4人は観客たちの気持ちの熱を上げ続けていった。

本編最後に竜馬四重奏は、スケール大きなエレクトロ音を背にして始まった『FOUR』に乗せ、それぞれが、優しい演奏を通して一人ひとりの心を抱きしめていった。とてもたおやかで、スケールの大きな演奏だ。でも、その演奏に身を委ねていたら、とても穏やかな気持ちになっていた。ここまでのいろんなドラマを振り返りながらゆっくりと眠りにつくような、そんな1日の終わりのときを、彼らの演奏を通して肌に覚えていた。

アンコールは、葉加瀬太郎の『情熱大陸』から始まった。いきなりテンションMAXで、情熱的な演奏を4人が力強くぶつけてくると、会場に熱風が吹きすさぶような、気持ちの熱と熱を交わし、重ねあう景色が生まれていた。メンバーも、これまで以上に挑発するような姿で迫る。今は熱を抱いた演奏に、高ぶる気持ちのまま身を委ねていたい。

竜馬四重奏は、最後の最後まで、沸き立った観客たちの気持ちの熱を冷ますことはなかった。今宵のライブを締めくくる曲として奏でた『VIVA!NIPPON』でも、華やかさと、躍動した情熱と、胸踊る楽しい気分を感じさせる演奏を通して、ここに、現実を忘れさせる素敵な宴の場を作り上げていった。ときに飛び跳ねて演奏をする4人に向けて、ずっと眩しい笑顔を浮かべて手拍子をしていた人たちの姿が忘れられない。

TEXT:長澤智典
《SETLIST》
- 第一部
- 1.connecting_Stand Up
- 2.風神
- 3.京都express
- 4.ハナミズキ
- 5.あんたがたどこさ
- 6.RYDEEN
- 7.HANABI
- 第二部
- 8.夜明け
- 9.暁
- 10.雨
- 11.世界に一つだけの花
- 12.浮世JAPAFUNK
- 13.VENUS
- 14.Rising Sun
- 15.FOUR
- -ENCORE-
- EN1.情熱大陸
- EN2.VIVA!NIPPON













