RiOがひと足早く連れてきたクリスマスの音の風は、とても甘い香りがしていた。だから、もっとその音色を身体中に染み込ませたくなっていた。

「踊るヴァイオリニスト」の愛称で親しまれているヴァイオリン奏者であり、シンガーとしての一面も持つRiO。彼女が、12月15日(日)にRock Bar Bauhaus Roppongiで「RiO Birthday LIVE -ONE MAN LIVE-」を行った。ゲストに広瀬晏夕を迎え、Juker(Gt)・佐々木亮太(Ba)・髙島ユータ(Key)・生田目勇司(Dr)というメンバーと共に演奏。当日の模様を、ここにお伝えしたい。

満員の観客たちでぎっしりの会場。やがて場内が暗くなるのに合わせて流れだした、美しくも幻想的な調べ。温かなクリスマスベルの音色とストリングスの音が優しく場内中に響き渡る。そこへ、同じく温かな鐘の音が重なりだす。流れだしたクリスマスナンバーへ導かれるように、バンドメンバーが登場。楽器を手にした彼らが、『Enchanting Melody』を演奏。その音へ導かれるように、ドレッシーな服に身をまとったRiOがヴァイオリンを手に舞台へ姿を現した。彼女はセンターへすっと立ち、ヴァイオリンの音色を流れるように奏で、この場にいる一人一人の気持ちを温かな音色で優しく包みこむ。でも、演奏陣のリズムが躍動しているからだろう。気づいたら彼女の奏でるヴァイオリンの音色も、リズムに乗って心地好く、弦の上を滑るように、胸を躍らせる音色を次々と奏でていた。華麗にステップを踏むその音色は、優雅な社交場で、RiOと一緒にドレッシーな服を身にまとってダンスに興じているかのよう。まるで、大きな古城の中で繰り広げられる宴の場でRiOと戯れているような気分だ。途中、メンバー紹介を兼ねた各自のソロコーナーも挟みながら、演奏は進行。後半へ進むにつれ、RiOのヴァイオリンの音色も艶めいた色を増してゆく。その芳醇な音色は、まるで赤ワインを舌の上で転がしながら酔いを味わっているようだった。

この日は、RiOの誕生日を祝いつつも、冬の訪れに合わせて、冬の匂いを感じるライブ構成。

次に奏でたのが、今年サーキットを舞台に、raffinée μ’sというユニットとして多く弾き続けてきた『Resonance』。ゆったりとした優雅な始まりは、まるでレースのスタートを切ったばかりの姿のよう。そこから楽曲は、アクセルを踏み込むように次第に加速していき、風を切るように、様々な音を纏いながら駆けだした。RiO自身も、タイトなリズムの上で、まるでヘアピンコーナーを華麗なハンドル裁きで走るように、曲線美を描いた伸びやかな音色を魅力に、この場にいる人たちをライブというレースの中へ心地好く導いていった。流れるような、しかも、美しく弾む演奏に触れていると、サーキットを駆け巡るというよりも、翼を手に大空を優雅に、自由に飛んでゆく、そんな開放感にも似た感覚を覚えていた。それくらい、触れた人たちの心をRiOの演奏が軽やかに解き放っていたということだ。

ここで、ゲストヴォーカリストとして、RiOへのプレゼントを手にした広瀬晏夕が登場。彼女は、RiOと同じraffinée ladyというレースクイーンユニットのメンバーであり、そこから派生したユニットraffinée μ’sでのパートナー。今年、数多くサーキット場で歌や演奏でサーキットし続けてきた仲だ。

最初に2人で届けたのが、raffinée μ’sの『Overtake』。この曲は、レースをイメージした力強い楽曲。歌詞にレース用語をいろいろと組み込んでいるのも特徴だ。とても凛々しい始まりだ。RiOのヴァイオリンの音色が演奏と一緒に流れた途端、場内が心地好い緊張感に包まれる。熱を抱いて駆ける演奏の上で、広瀬晏夕が美しく、愛らしさも隠し持った声で歌い、楽曲へ華やかな彩りを与えていく。華やかに疾走する楽曲の上に、広瀬晏夕の歌声が情熱と浪漫を描き加える。軽快に走る楽曲だからこそ、その歌と演奏に身を預けていると、サーキットの上を駆ける気分も覚える。それは、歌詞に綴られた言葉たちの影響もあるのだろうか。観客たちも手拍子をし、気持ちを走らせながら楽しんでいた。

鈴木花純とのデュエット曲の『Message』を、今宵は広瀬晏夕とデュエット。この曲でも、太い音色を響かせながらも、澄み渡る広瀬晏夕の歌声へ寄り添うようにRiOのヴァイオリンの音色が綺麗に重なりあっていた。その共演は、歌とヴァイオリンという形を取りながらも、一緒にデュエットし、ハーモニーを描きだしているようにも胸に響いていた。けっしてでしゃばることなく、あくまでも広瀬晏夕の歌声が生きる演奏を優しく添えていた様も、とても印象的だった。果たして歌詞に出てくる虹の向こう側には、どんな景色か広がっているのだろうか。いろんな妄想も頭の中のスクリーンに映しながら、寄り添いあう2人の歌声と音色に心地好く身を預けていた。

MCでは、RiOのマイクのプラグが外れるというアクシデントも。次の楽曲からは撮影可能ブロックへ。レースクイーンとしても活動をしているRiOのファンたちの中には、スマホのみならず、一眼レフに大きなレンズを付けたカメラを構える人たちもいた。

今日から恋人になる君へ』では、RiOもヴォーカリストに。ここでは、RiOと広瀬晏夕がデュエットを披露。後ろ姿からのスタート。軽やかに弾む演奏が流れだすのに合わせ、2人が一緒に前を振り向き、リズムに乗せて軽やかに踊りながら、愛らしい歌声を重ねだした。チャーミングなその姿は、まるでデュオアイドルのよう。実際にそれぞれが歌えば、巧みに歌声を重ねあい、この場の空気を、恋したときのドキドキした気持ちのようなときめいた色に染め上げていた。途中には、「私たち #らぶりお」と愛らしく叫ぶ場面も登場。ときに、互いに顔を見合わせて振りを重ねるなど、本当にアイドルのような様で2人は歌っていた。

この2人でもう1曲コラボレートしたのが、raffinée μ’sのライブでも大人気の『メロンソーダ飲みたい』。事前に曲振りをした時点で、場内中の人たちがメロン色のサイリウムを掲げ、2人に向けてその輝きを揺らしだした。広瀬晏夕が愛らしい歌声で「メロンソーダ飲みたい」と歌うたびに、フロア中の人たちも、気持ちを眩しい青春の色に染め上げ、一緒に甘いひとときを過ごし、ときに熱いMIXの声を上げていた。広瀬晏夕がとろけそうな甘い声で歌えば、RiOのヴァイオリンの音色も甘く優しい音色を響かせ、この場をとろけそうに甘々の夏景色に染め上げていた。2人に向けて、フロア中から熱い声が飛び交うのも、この曲ではお馴染みの景色。互いに顔を見合わせて歌い演奏する様も、本当に愛らしい。この曲へ触れている間中、夢のような淡い青春の景色の中、無邪気な少年や少女の気持ちに染まっていた。途中には、2人に向けて熱いガチ恋口上が飛び交う場面も登場。「世界で一番愛してる」の熱い声に照れたあまり、広瀬晏夕の歌の入りが一瞬遅れたのもご愛嬌。最後の最後まで熱情した景色を、2人はこの場に描きだしていった。

MCでは、みんなで「情熱大陸」のテーマ曲を演奏する場面や、バンド陣の演奏に乗せてRiOが水をグッと飲む場面も。ここからは冬を感じるコーナーへ。

最初にRiOが冬曲として奏でたのが、『silent emotion』。深々と雪が降るような演奏を背に、RiOの演奏が、真っ白な世界へ淡い色を落とすように景色を色づけてゆく。とても温かく穏やかなその演奏は、降り積もる雪へ、RiOが小さな煌めいた輝きを寄り添わせるようにも見えていた。曲が進むにつれ、その音色は次第に色を増し、パウダーのような淡い雪の上へ、ぼた雪のように深く重みを持った音の色を塗り重ねだす。脳裏にはずっと、深々と降り続ける雪景色が映し出されていた。誰もがその音色へ深く気持ちを寄り添わせ、一部の人たちはしっかり動画を撮りながらも、次々と降り積もる優しい雪の音色を心の中に積もらせていた。

ここで、少しだけ早いクリスマス気分を一緒に味わいながら気持ちをときめかそうと、RiOは『MerryMerry X’mas!!』を演奏。華やかに、軽やかに踊るヴァイオリンの音色に気持ちを寄せながら、心地好く身体を揺らし、ずっと手拍子もしていく観客たち。華やかにスウィングする演奏の中へ飛び込み、甘い甘いひとときをたっぷりと味わっていた。RiOも、ときにメンバーたちへ寄り添いながら、音を奏でるのを楽しんでいる様子。RiOがひと足早く連れてきたクリスマスの音の風は、とても甘い香りがしていた。だから、もっともっとその音色を身体中に染み込ませたくなっていた。

次の曲の前に、RiOがクリスマス仕様のカチューシャを頭に装着。届けたのが、ラブライブ!のカバー曲の『Snow halation』。歌系の楽曲を、RiOの奏でるヴァイオリンの歌に乗せて味わえたのが嬉しい。彼女の奏でるヴァイオリンの音色が、青春の輝きを解き放つように歌っていたのはもちろん、ヴァイオリンの音色を通すことで、メロディーの持つ魅力をより色濃く味わえた。途中からトナカイのカチューシャを頭に乗せた広瀬晏夕が登場し、歌唱。まさかの歌声とヴァイオリンとの共演を、ここでも味わえるとは。予想外の嬉しい展開に、場内中の人たちも心の中で声を上げ、2人の眩しい饗宴に胸をときめかせて楽しんでいた。ひと足早いクリスマスプレゼントをRiOから贈ってもらえた気分だった。μ’sの楽曲をraffinée μ’sがカバーしたことに、一人エモがっていたRiOの姿も印象的だった。

最後にRiOが奏でたのが、レースの決勝日にサーキットのステージで演奏してきた『Chase Of Blue』。センターで身構えたRiOは 、眩しいスポットを浴びながら音色を奏でだす。そこへ加わる演奏陣。この曲では重厚な面も覗かせた演奏を披露。疾走するバンド演奏の上で優雅に、でも、力強くその存在を示すようにRiOが音を奏でていた。演奏陣と巧みにセッションしあうような様も見せつつ、胸を歓喜させる音色を響かせ、RiOは観客たちの心を熱くときめかせていった。

アンコールの前に、誕生日のRiOを祝おうとバースデーケーキが登場。さらに、バンドメンバーやファンたちからもプレゼントが届けられた。アンコールは、観客たちを総立ちにしたうえで、『Luminous』を演奏。とても情熱的な楽曲だ。奏でる音の一つ一つが力強く響き、その音が嬉しく胸を高ぶらす。ときにお立ち台の上に立って、観客たちへ凛々しい音色を降り注ぐように演奏。存在感の強いヴァイオリンの演奏だ。でも、情熱的な音色を奏でるRiOの表情は笑顔だった。途中から広瀬晏夕が登場、観客たちへガチ恋口上を一緒に言おうと呼びかける。場内中の人たちが熱い熱い声でガチ恋口上を叫んでいた姿も印象的だった。熱情したその空気を持って、後半も華やかな演奏が場内中を飛び交えば、観客たちも白いサイリウムを振りながら、RiOへ想いを投げ返していた。

アンコールの最後は再度、広瀬晏夕を迎え、raffinée μ’sの『FEEL!』を歌唱&演奏。2人の動きが綺麗にシンクロしたダンスから楽曲はスタート。軽やかに、甘いチャーミングな音色を響かせて演奏をするRiO。広瀬晏夕も愛らしさを持って歌いながら、観客たちの胸の奥へ甘い歌声を響かせていた。今はただ、感じるままに甘いひとときを味わい続けよう。最後の最後に、チョコレート味のバースデーケーキ以上の甘い甘いひとときを届けてくれたのが嬉しかった。

2025年よりRiOはフリーとして活動をしていくという。これから彼女がどんな未来図を描きだすのかが楽しみになってきた。

TEXT:長澤智典

《SET LIST》
  1. 1.Enchanting Melody
  2. 2.Resonance
  3. 3.Overtake
  4. 4.Message
  5. 5.今日から恋人になる君へ
  6. 6.メロンソーダ飲みたい
  7. 7.silent emotion
  8. 8.MerryMerry X’mas!!
  9. 9.Snow halation
  10. 10.Chase Of Blue
  11. -ENCORE-
  12. EN1.Luminous
  13. EN2.FEEL!

RiO(Violin)使用楽器・機材紹介

RiO

2025.2.11 定期公演「RiO&」Vol.34開催!

RiO定期公演「RiO &」vol.34
2025年2月11日(火・祝)
溝ノ口劇場
Open 17:00/ Start 17:30
ゲスト:中村歩、生田目勇司
https://t.livepocket.jp/e/rioand34

RiO「Steppin' Up My Story」配信中!

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