TEXT:長澤智典
PHOTO:るふぃ

カバー曲という形を取りながら、長谷川愛自身が胸に抱いている思いや、彼女の心の中にあるいろんな景色を描き出したライブ!

長谷川愛が34歳の誕生日を祝おうと、2月10日と11日に赤羽ReNY alphaで「34 year Birthday Special Live 〜Vivid film〜」を計3公演行った。ここでは、10日の第1部公演として開催された「カバーライブ(バンド)」編の模様を伝えたい。

「カバーライブ」編 と名付けられたように、この公演で披露したのはすべてカバー曲。それをバンド演奏で届けたことからもわかるように、単なるカバーではなく、彼女の歌声の個性を生かした“長谷川愛らしい色”に染めあげて届けてくれたのが嬉しい。

メンバーの登場に合わせて、フロア中から起きた拍手。長谷川愛の登場に、ひと際大きな歓声が上がる。ライブの冒頭を飾ったのが、Adoの『』。強烈なインパクトを放つ楽曲だ。彼女は村社未来(Drums)の叩き出す激しいエスノビートの上で、パワフルな歌声を軸に据え、その上で微細に…いや、ジェットコースターのように表情豊かに声を走らせ、煽るように歌っていく。巧みに抜いた表情も見せながらも、常に攻めた姿勢で歌いあげる。 客席もじっとしていられず、みんな立ち上がり騒ぎだしていた。

楽しんでいきましょう!」の声を合図に長谷川愛が歌いだしたのが、新しい学校のリーダーズの『オトナブルー』。ジャジーでソウルフルな色を放つこの曲では、大人の色気を歌声へ醸しながら歌唱。お馴染み首振りダンス…の代わりに、身体を横に細かく振る様も見せ、彼女は艶めいた大人の色気を満載に迫っていた。その姿と視線に強く惹かれ、心が釘付けになる。会場には女性ファンが多く、長谷川愛に憧れの視線を向けてはしゃぐ人たちも大勢いた。

MCでは、身近なお姉ちゃんのような姿を見せるところにも親しみを覚える。「今日、めっちゃキラキラしてるんだけど」と、衣装の魅力をアピールしていたことも伝えておこう。

次のブロックでは、観客たちを座らせ、自らも椅子に座って歌唱。ピアノとアコギの温かな音色に乗せて届けたのが、クリスハートの『I LOVE YOU』。ここでは、切ない恋心を綴ったラブバラードを歌唱。ビブラートを生かした歌声を魅力に、長谷川愛は言葉のひと言ひと言へ、心震える思いをしっかりと込めながら歌っていた。その歌声と姿は、愛しい人へ向かって、気持ちを切々と告白するようにも見えていた。「I LOVE YOU, I LOVE YOU」と胸を震わせ歌う姿と歌声に触れ、同じように心に涙の雨が降るのを感じずにいられなかった。いや、ほんと切なすぎるよ。ついハンカチを握りしめながら見てしまったのも、当然だ。

続く、優里の『恋人じゃなくなった日』では、Asucah(Keyboard)の奏でるもの悲しいピアノの音色と寄り添うように歌いだす姿が印象的だった。他の楽器陣も、長谷川愛の歌う切々とした歌声へ寄り添い、優しく励ますように音色を奏でだす。彼女自身が、曲の世界へ気持ちを没入。歌の主人公と同じ心の色に染めあげ、自らの胸の内へ語りかけるように歌っていた。凛とした姿で、でも、今にも心壊れそうな思いを声に乗せて歌う長谷川愛の姿から目を離せなかった。

どんな表情や心模様で歌おうと、MCになると飾らない姿を見せるところも、長谷川愛らしい親しみやすさなのだろう。ここでは、応援してくれる人たちがいるから、今回の2 DAYS公演が実現したことへの感謝の思いを述べていた。

次のブロックで、しかもノンストップで届けたのはアニソンメドレー。最近のヒットチューンを中心に据えているのがポイントだ。『名探偵コナン』の楽曲に乗せ、自己紹介からスタートしたのも印象的。「真実はいつも一つ」の言葉を合図に、ここからが本格的なアニソンメドレーのスタート。

冒頭を飾ったYOASOBIの『アイドル』では、巧みにファルセットヴォイスも交え、ハイトーンな歌声を魅力にパワフルにせまる。その中へ、艶めいた大人らしさもしっかり醸しだしていた。続くLiSAの『Catch the Moment』では、フロア中の人たちが拳を突き上げる様を描きだす。彼女自身がLiSAの魂をみずからの身体へ降臨させ、あふれだすエモい感情を高らかな声に乗せ、思いきり歌いあげていた。10FEETの『第ゼロ感』では、低音域の歌声を魅力に雄々しく迫る。場内中から、彼女の歌に合わせて「WOW WO WOW WOW」と声が上がるほどの一体感を描きだしていった。

セクシーな声も巧みに差し込みながら、次に歌ったのが『サザエさん』。このメドレー、本当に表情が極端に変化してゆく。まるで緩急の勾配が激しいジェットコースターに乗っているようだ。この曲では、ファンの人たちも一緒に愉快に歌っていたことも伝えておきたい。

長谷川愛が出演していた舞台「呪術廻戦」の繋がりで歌ったKing Gnuの『SPECIALZ』では、とても凛々しく、でも巧みにアダルトな声の色も加え、観客たちをグルーヴィな世界へ巻き込み、熱情させてゆく。騒ぎたい感情へ一気に火をつけたのが、氷川きよしの『限界突破×サバイバー』。この曲でも長谷川愛は凛々しく、しかも雄々しき様も見せ、観客たちをオラオラと熱く煽り続ける。その様に刺激を受け、フロアのあちこちから拳が突き上がっていた。

メドレーコーナーの最後を彩ったのが、anoの『ちゅ。多様性』。本当に1曲ごとにはしゃぐ心が忙しい。でも、それこそが長谷川愛が仕掛けたメドレーの楽しさ。この曲では、巧みに愛らしい歌声も描き加え、彼女自身が、気持ちや声をano色に染めあげて歌いあげていった。最後を『名探偵コナン』のテーマソングで締めくくるところも、素敵かつ、冴えた演出だ。瞬時に曲の表情を変えながら演奏をしてゆく楽器陣の表現力の高さが味わえたのも特筆すべき点だろう。メドレーコーナー後のMCでは、舞台「呪術廻戦」の裏話も語っていたことも報告しておこう。

ライブは後半戦へ!

LOC

2024.08.10 Release First Album「声」

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