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高嶋英輔(Vn)と長澤伴彦(Cb)によるポップインストユニット、style-3!の結成20周年記念ツアーのファイナルが11月8日(金)に神奈川・CLUB CITTA’で開催された。

アニバーサリーを締め括る公演とあって、6人のピアニストをはじめ、彼らと親交が深いミュージシャンが数多く駆けつけ、まさに“軌跡”も“奇跡”も感じられる素晴らしい一夜となったワンマンライブ。オープニングムービーを経てステージに現れた高嶋と長澤は、まず満面の笑みでがっちりハンドシェイクを交わす。



白井洋旭(Pf&Syn)、川代祥治(Pf)、石井裕(Gt)、岡部量平(Perc)、只熊良介(Dr)を従え、ロック色の強い『熱情』でライブがスタート。燃えるような赤い照明のもと、高嶋のバイオリンがエモーショナルに轟き、それをクールに支える長澤のコントラバスも心地よい。客席からは大歓声が湧き起こっている。


続いては、白井と川代が捌けて恵土友梨(Pf)が入り、妖艶かつジャジーに魅せる『TRAP』へ。以降もゲストが次から次に登場する展開で、朝香智子(Pf)とともに届けた安らぎのバラード『うつろい』、同じくトリオで伊藤詩織(Pf)と爽快なメロディを響かせた『君に会いに行くよ』、約10分に及ぶ深遠な大曲『海の薔薇』、小川徹(Pf)を迎えてエドワード・エルガーの行進曲『威風堂々』をアレンジした『Pomp and Congrats』と、style-3!はジャンルに囚われない色とりどりのインストナンバーを奏でていく。



「楽しすぎる、幸せすぎる!生きててよかったね!!」と喜びを噛み締める高嶋と長澤。6人のピアニストが出揃ったあとは、新潟県長岡市発の従兄弟ユニット、ひなたを自身のワンマンにおける初ボーカリストとして招き入れ、彼らの地元ソング『越後長岡のうた』、両者で共作した『ハッピーエンド』をセッションするなど、20周年にふさわしい賑やかなお祝いムードに。


神奈川県横浜市戸塚区発のダンス&ボーカルユニットであるwhite superiors、RAD SUPERIORS、Harmonize Familyが参加した『Sky on』は、アンサンブルの美しさとキッズダンサーの躍動を掛け合わせたパフォーマンスでいっそう場が華やぐ。裏打ちのリズムに乗せた『青空電車』では、なんと神奈川県川崎市のご当地キャラクター、ミュートンと共演。サプライズ的な楽しいコラボを通じて、style-3!の幅広い交友関係や親しみやすい人間性も顕著に伝わってきた。



さらに、疾走感あふれる代表曲『花雷』で演奏のギアを上げ、そのまま『MATADOR』へ繋ぐと、ピアニスト陣の流れるようなリレーに加え、長澤のいぶし銀なコントラバスソロ、高嶋のアグレッシブなブリッジ弾きで、オーディエンスを大いに沸かせたstyle-3!。
「どの会場も熱くてね、たくさんの思い出をいただいたんですけど、このCLUB CITTA’。今日が最高の瞬間です!」(長澤)
「確かに!(まだライブが終わっていない)今の時点で、もうすでに最高だよね」(高嶋)



ツアーを振り返って嬉しそうに話す2人は、観客との協力プレイ(“カキーン”の合図とともにステージ上でホームランを打ってもらう)が決まった『Baseballman』、命の尊さや存在のありがたみをしっとり表現した『人は花』と、その後も集大成と言えるサウンドで聴き手をグッと惹き込む。
「今日はこんなに多くの方に来ていただいてありがとうございます。バイオリンというのは本当に空気の振動が伝わる楽器なので、みなさんがいたからこの音色が鳴ると思っています」(高嶋)


そして、本編ラストはツアー中に完成させたという新曲『Anniversary』。颯爽と放たれるポジティブなグルーヴを受け、客席で祝福のタオルが勢いよく回り出し、煌びやかな銀テープが宙を舞う。演奏後には花束も贈られ、style-3!は充実の表情を浮かべてステージを降りた。

アンコールでは、これまでの歴史がバックに映される中、集まってくれたファンへ改めて感謝を告げるように『僕と出会ってくれてありがとう』を2人だけで披露するシーンも。


場内が感動に包まれ、最後の最後は突き抜ける明るさを持ったアップチューン『Treasure Hunter』。何度もジャンプしながらバイオリンを弾く高嶋、コントラバスを豪快に回転させる長澤、舞台に集って歓喜するゲストミュージシャン、再びタオルを振って盛り上がるオーディエンスがひとつになり、結成20周年記念ツアーは大団円で幕を閉じた。エンドロールで流れたstyle-3!からのメッセージも書き記しておきたいと思う。

「愛で音を紡ぎ、感謝に育てられた20年間! ありがとう😊 また明日ね♡」(高嶋)
「みんながいてくれたからいまがある!! あらためてありがとう。そしてこれからもいっしょに歩んでいこう♪」(長澤)


取材・文:田山雄士
《SET LIST》
- 1.熱情
- 2.TRAP
- 3.うつろい
- 4.君に会いに行くよ
- 5.海の薔薇
- 6.Pomp and Congrats
- 7.越後長岡のうた
- 8.ハッピーエンド
- 9.Sky on
- 10.青空電車
- 11.花雷
- 12.MATADOR
- 13.Baseballman
- 14.人は花
- 15.Anniversary
- <ENCORE>
- 1.僕と出会ってくれてありがとう
- 2.Treasure Hunter
高嶋英輔(Violin)/長澤伴彦(Contrabass)使用楽器・機材紹介