休憩後の後半はいよいよヘビーメタルを中心としたロックナンバー。衣装をアイアン・メイデンのTシャツに着替えて登場!

1曲目はメタリカの『Master of Puppets』。80年代以降のメタルシーンを牽引するこのバンドの代表曲。1986年にリリースされたこの曲はエレキギター愛好家の間では高速ダウンピッキングが必要なことでも知られているが、この曲を見事にアレンジし激しさに加えてメロディーラインも美しくカッコよく奏でていく。この曲については猪居亜美が自身のYouTubeチャンネルにおいて、エレキギターで演奏しているものも観ることができる。この曲を編曲するにあたって、猪居亜美はA.ヒナステラ(1916-1983)が作曲した『ギターソナタ』で使われるラスゲアードやタンボーラなどの奏法をアイディアとして取り入れている。印象的な低音リフの激しさに加えて曲の中間部の繊細な美しさにも魅了される。曲の後半は畳みかけるような圧倒的なパフォーマンスで会場は盛大な拍手に包まれた。

2曲目はメガデスの『À tout le mondeメガデスが1994年にリリースしたアルバム『Youthanasia(ユースアネイジア)』に収録された美しいナンバーで、猪居亜美はメガデスの中で一番好きな曲と語っている。また、このバンド黄金期のギタリスト、マーティ・フリードマン氏とも共演を果たしている。

この曲の美しい旋律はクラシックギターとの相性も抜群で、原曲以上の美しさではないかと思わせてくれる。その美しさに呆然とするうちに曲は終了し、拍手するタイミングもつかめないまま客席は恍惚に包まれる。

3曲目はホワイトスネイクの『Is This Love』。1987年にリリースされたこのバンドの代表曲。セットリストの中ではやや意外な選曲という印象であったが、この曲の持つセンチメンタルな雰囲気がクラシックギターに実によくマッチし、ハーモニーの美しさが絶品であった。

4曲目は今年リリースしたCDのタイトルにもなったエヴァネッセンスの『My Immortal』。2003年にリリースされたこのバンドの代表曲。美しいアルペジオから始まるこのカバーは、まるで初めからクラシックギターのために作曲されたのではないかと思えるほど、繊細でデリケートな世界観が広がり、そのノスタルジックな響きに涙腺が緩む。この美しい名曲に猪居亜美が新たな息吹を吹き込んだ。

5曲目はオジー・オズボーンの『Goodbye to Romance』。1980年にリリースされたランディ・ローズ在籍時の名曲。オジー・オズボーンの個性的で唯一無二のボイスが心に残る曲であるが、ボーカルのメロディーラインがクラシックギターの音色となることで、この曲の持つ切なさがより一層強調される。

6曲目はアイアン・メイデンの『The Trooper』。1983年にリリースされたアップテンポなナンバー。リフ・メロディー・ハーモニーいずれも絶品、カッコイイの一言!あまりにも超絶技巧のため、ベースラインなども一体どうやって演奏されているのか理解不能な領域。圧倒的な演奏で再び会場は盛大な拍手喝采に包まれる。

そして、ロックの最後はラウドネスの『CRAZY DOCTOR』。1984年にリリースされたナンバーで、ラウドネスの第1期メンバーの頃の代表曲。猪居亜美がSNSにアップしたところ、ラウドネスの高崎晃氏本人から称賛されたことも記憶に新しい。原曲のカッコよさを最大限に引き出した秀逸なアレンジ。日本のバンドの曲だけあって、激しさの中にも琴線に触れる切ないメロディーが美しい。高速ギターソロのカバーも一体どうやって演奏しているのか、とにかく凄すぎて圧倒されたままプログラムが終了!

アンコールを求める拍手は次第に会場全体に盛り上がり、一体となって鳴り響いていった。

鳴りやまないアンコールに応えて再登場すると、改めて平日に時間を作ってのご来場となったオーディエンスへの感謝の言葉があった。そして、今後の活動予定の紹介があり、来年はデビュー10周年も記念し、CLASSIC×ROCKの続編コンサートが決定したことが紹介される。ファンクラブ先行チケットもこの日から販売開始となったようだ。その来年のコンサートでは、CLASSIC×ROCKの新曲として、バッハ&イングヴェイをメインにこれから準備していくとのこと。

アンコールはX(現X Japan)の『』。1989年にリリースされた説明不要の代表曲。
この曲の編曲のみ猪居亜美本人ではなく、峯吉奏典氏の編曲を使用しており、イントロ部分ではクラシックギターならではのトレモロ奏法も盛り込んだ洒脱なアレンジ。「この曲を弾くとみなさんが喜んでくれるので」と言うその言葉通りの名演で締めくくった。

演奏終了後は会場で写真撮影会も行われ、ステージ側からスタッフが客席に向けて全体撮影後、客席側からオーディエンスによる撮影タイムが行われた。「一番かわいく撮れている写真だけをSNSにアップして下さいね!」「猪居亜美のハッシュタグも付けて頂けたら、後で私もエゴサで探して、イイネしておきます!」そんな和やかな雰囲気で終演し、その後はサイン会も開催され長蛇の列となっていた。

素晴らしい音楽を聴くことが出来た一夜となり、会場全体が幸せな空気に包まれたコンサートとなった。楽器やそれぞれの曲の魅力を存分に表現し、聴く人の心も豊かにする演奏家としての存在感。他のギタリストが真似の出来ない唯一無二のスタイルを確立しつつあり、世界中で猪居亜美だけにしか創り出せない音楽表現と演奏スタイルを駆使したステージ。来年のコンサートも今から楽しみだ。

取材・文:伊藤昌志
撮影:小野寺将也

《SET LIST》[Program]
  1. 1.前奏曲、フーガとアレグロBWV998/J.S.バッハ
  2. 2.ラ・グラン・サラバンダ/L.ブローウェル
  3. 3.アストゥリアス/I.アルベニス(T.ミュラー・ぺリング編)
  4. 4.涙の賛美/F.シューベルト(J.K.メルツ編)
  5. 5.エチュードNo.12/H.ヴィラ=ロボス
  6. 6.Master of Puppets/Metallica
  7. 7.À tout le monde/Megadeth
  8. 8.Is This Love/White Snake
  9. 9.My Immortal/Evanescence
  10. 10.Goodbye to Romance/Ozzy Osbourne
  11. 11.The Trooper/Iron Maiden
  12. 12.CRAZY DOCTOR/Loudness
  13. ENCORE
  14. EN.紅/X Japan(峯吉奏典 編)

猪居亜美 使用楽器・機材紹介

猪居亜美

猪居亜美 CLASSIC×ROCK 2025 —Bach×Yngwie 開催決定!

【東京】
2025年4月19日(土)14:00開演
Hakuju Hall

【大阪】
2025年6月1日(日)14:00開演
ザ・フェニックスホール

○チケットぴあ:https://w.pia.jp/t/ami-inoi/
○ローソンチケット:https://l-tike.com/ami-inoi/
○イープラス:https://eplus.jp/ami-inoi/

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自らのルーツを辿る ロック・カバー・アルバム
クラシックギタリストとしての地平に身を置きつつ、ロックをルーツのひとつとする猪居亜美。
世界的ギタリストのマーティ・フリードマンとの共演や「CLASSIC×ROCK」と題したコンサートシリーズの開催、クラシック専門誌「音楽の友」での「猪居亜美のGuitar’s CROSS ROAD」連載など、ボーダレスな活動を展開する猪居による、待望のロック・カバー・アルバムの登場です。
猪居自身のチョイスによる、いずれも美音とこだわりが光る珠玉の10曲を収録。本人書き下ろしの解説と合わせてお楽しみください!
発売日:2024年4月10日
商品番号:FOCD9904 POS:4988065099046

[収録曲]
Sweet Child O' Mine(Guns N' Roses)
Lithium(Evanescence)
My Immortal(Evanescence)
Endless Rain(X Japan)
雨のオーケストラ(MUCC)
紅(X Japan)
Goodbye to Romance(Ozzy Osbourne)
Dee(Randy Rhoads)
Master of Puppets(Metallica)
Numb(Linkin Park)
https://fontec1971.thebase.in/items/84114635


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